“えんてん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
炎天60.7%
宛転17.9%
婉転7.1%
円点3.6%
嫉転3.6%
宛囀3.6%
蜒転3.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
鳥もけものも、みなえ死にじゃ人もばたばたたおれたじゃ。もう炎天えんてん飢渇きかつために人にも鳥にも、親兄弟の見さかいなく、この世からなる餓鬼道がきどうじゃ。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
くだんの経文に〈この道人、頭破れ血したたり、床座を沾汚てんおす、駆りてすみに入らしむ、急を得て糞を失す、次第七人、皆打棒せられ、地に宛転えんてんす〉とあるから転化したのだ。
柱にもたれている女中は婉転えんてんたる京都弁で何とか言っては笑った。居士も笑った。余はぼんやりとその光景を見ていた。たしかこの日であったと思う。二人が連立って嵐山の紅葉を見に行ったのは。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
と、まさしく、ポトリと音がして、赤羽主任の掌上てのうえには、一滴の血潮ちしおが、円点えんてんを描いた。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
例えば中国一たび亡びんか、日本も必ず幸いなし。何ぞそれく国家の旗を高くてるをまかせんや。嗚呼ああ君、われら、今彼らの滅種政策の下に嫉転えんてん呼号するもの。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
彼女はちょっと目礼したぎり、おどるようにたんの側へ歩み寄った。しかも彼の隣にすわると、片手を彼のひざの上に置き、宛囀えんてんと何かしゃべり出した。
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
今ここで武道者を殺害した滝之助は、その血の滴たる鎌を洗うべく御手洗池みたらしいけに近寄った。蠑螈いもりが時々赤い腹を出して、水底に蜒転えんてんするのは、鎌の血と色を競うかとも見えた。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)