“いっすい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
一穂37.9%
一睡27.6%
一水10.3%
溢水6.9%
一吹6.9%
一炊6.9%
一酔3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一穂いっすい春灯しゅんとうで豊かに照らされていた六畳のは、陰士の影に鋭どく二分せられて柳行李やなぎごうりへんから吾輩の頭の上を越えて壁のなかばが真黒になる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
館内には、館長さんや三人の宿直員が、一睡いっすいもしないで見はっていました。その人たちに知れぬように、あのたくさんの品物をおきかえるなんて、まったく不可能じゃありませんか。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一水いっすい西に渡ればこれ嶹原たうげん
青いあちらの樹林からせせらいで流れて来て、そして再び、青い樹林の彼方にいこむのである。時季によって溢水いっすいするであろう河原が、ごろごろと岩をさらして白く乾いていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
それをもってみれば、螺手の一吹いっすいも、聴く耳にとっては、怖いものとする方が、或いは本当かもしれぬ。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……君があの烈しい恋の酩酊めいていから醒めたからって、……別に俺が君に対して何を云うことが出来よう?……かしこ過ぎて、ここ現実おつつの園に戻りきたれば、何事もみなはかなき一炊いっすいの夢だ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
海にむかった室で昼間の一酔いっすいに八十翁もよばれてほろよいになると、とてもよい声で、哥沢うたざわの「白酒しろざけ」を、素人しろうとにはめずらしいうたいぶりをした。
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)