一水いっすい)” の例文
けれど、敵の本城、稲葉山から遠い飛領とびりょうなどは斬り取りできても、さて一水いっすいを隔てた斎藤家の本領は、さすがにがんとしたところがある。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一水いっすい西に渡ればこれ嶹原たうげん
だが、一水いっすい彼方かなたは、三本木のとりで、川並の砦、杭瀬くいせの砦、大垣の城地と、往来という往来、すべて敵の要塞ようさいでないところはない。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大国の富強をあげてこの一水いっすいを守りとしている。尾張の微勢では、正攻法で抜けるわけはなかった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ入ると、もう蕭殺しょうさつの気が肌に沁む。草むらに、灌木かんぼくの中に、兵は銃列をいて、身を屈している。槍隊は槍をにぎって、まだ何も見えない姉川の一水いっすいをにらんでいる。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)