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いたづらずき
卅
越えて四十に
成つても
彼は
鍋といふのが
酷く
厭であつた。
村落ではそれを
知らぬ
者はない。
或時惡戯好な
兼博勞が
勘次の
刈て
居る
稻を、
此は
何だえと
聞いた。
態と
聞いたのであつた。
迅速で
且壯快な
變化を
目前に
見せる
火が
彼等の
惡戲好な
心をどれ
程誘導つたか
知れない。
彼は
落葉を
攫んでは
竈の
口に
投じてぼうぼうと
燃えあがる
焔に
手を
翳した。