真剣しんけん)” の例文
旧字:眞劍
○「一生に一度は真剣しんけんな気持ちにさせられるものにぶつかってみたいと思うことは、そりゃあたし達にだって、ちゃんとあるわ。」
現代若き女性気質集 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
木剣ぼっけんと木剣である。木剣はすでに真剣しんけんにひとしい。それが仕合を約して立ちむかった際はなおそうである。打ち所が悪ければ死にもする。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勇吉ゆうきちは、むしたちの敏感びんかんなのにおどろき、かつ、その真剣しんけんなのを、きみわるくさえかんじました。これをづかずにいた、おじさんにげると
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
悲しげな、真剣しんけんな、美しい顔で、そこには心からの献身けんしんと、なげきと、愛と、一種異様な絶望との、なんとも言いようのないかげがやどっていた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
しかも、かれ自身は、どんなへまをやっても微笑一つもらさず、いつも真剣しんけんそのものといった顔つきをしていたのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
真剣しんけんだ。復讐魔ふくしゅうまと化しさっている喬之助の一語一語が、剃刀かみそりのように冷たさをもって、戸を貫いて壁辰の胸をす。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その本来ほんらいのお姿すがたしろひかったたまかたちでございますが、ほど真剣しんけん気持きもちふか統一状態とういつじょうたいはいらなければ、わたくしどもにもそのお姿すがたはいすることはできませぬ。
ことに、こどもの道徳教育どうとくきょういくが、真剣しんけんかんがえられている今日こんにち、こういう、道徳的教訓どうとくてききょうくんのふくんだ物語ものがたりは、おさんのために、ぜひおすすめしたいものとおもいます。
先生と父兄の皆さまへ (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
さて稽古けいこんで、おのれの工夫くふう真剣しんけんになる時分じぶんから、ふとについたのは、良人おっと居間いま大事だいじにたたんでいてある、もみじをらした一ぽん女帯おんなおびだった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
二人はその後月を重ね年を経ても一向この遊戯を中止する模様がなかったかえって二三年後には教える方も教えられる方も次第に遊戯のいきを脱して真剣しんけんになった。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
直ぐにも打縛ふんじばりでもするように、お前、真剣しんけんになって、明白あかりを立てる立てるッて言わあ。勿論、何だ、御用だなんておどかしたには威しましたさ、そりゃ発奮はずみというもんだ。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかしわかあまさんは、眼鏡めがねをかけたかお真剣しんけん表情ひょうじょうをうかべて、「いいえ、自分じぶんからだかして、爆弾ばくだんとなってしまうかねですから、どうしても供養くようをしてやりとうござんす。」
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「こ、これで、きみ、ブルに勝つというのかい?」と、目をみはって、真剣しんけんにたずねる。
小指一本の大試合 (新字新仮名) / 山中峯太郎(著)
主人は、客が冗談じょうだんを言っているとのみ思って、ニヤリととぼけた笑い方をした。老紀昌は真剣しんけんになって再び尋ねる。それでも相手は曖昧あいまいな笑をうかべて、客の心をはかりかねた様子である。
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
今度、Bデッキの上を駆ける頃になると、あなたは、海風に髪をなびかせながら、いっぱいに腕を開き、張りきった胸をそらしている。その真剣しんけんな顔付が、また、次の一廻り中、眼の前にある。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
ゴルドンは、次郎の日ごろと異なる真剣しんけん態度たいどを見て、いぶかしく思った。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
四国のけんのことが話題わだいにのぼり、徳島県に高知県、香川県、——それから何だったっけな、と、愛媛えひめ県を忘れた男が、ええ、といって考え込むような恰好かっこうをしていると、俵的が真剣しんけんな顔をして
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
こまりますね、左様さう真剣しんけん詰問きつもんされちや」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
どんな真剣しんけんな物でも
南洋館 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
これをゆうちゃんは、あまり真剣しんけん姿すがたに、気味悪きみわるくなって、もうこのうえへびをいじめるにはなれなかったのです。
少年の日二景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれが荒田老に予期していたものは、よかれあしかれ、もっと真剣しんけんな表情か、さもなくば全くの無表情だったのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
その真剣しんけんぶりに、万千代や小姓たちが、少しあとへさがったのをしおとして、かれはまた、ふたたびげいにとりかかるような身構みがまえをキッと取り
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無尽蔵むじんぞうともいうべき詩句に、彼女への讃美さんびの情をたくしては、それを、どこかしら不自然でもあれば真剣しんけんでもある感激かんげきをもって、彼女に朗読して聞かせる。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
ひめがあれをただ海神かいじんいかりとのみかんじたのはいささか間違まちがってるが、それはそうとして、あの場合ばあいひめ心胸むねにはまことになみだぐましい真剣しんけんさが宿やどっていた。
真剣しんけんの時は、思わずほんとの心が出るものだ——とすれば——こう考えて来た時、お妙は、自分が喬之助に熱恋ねつれんささげているのであることを知って、一時に、え切れない恥かしさが燃え上って来て
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いつもとちがった真剣しんけん心持こころもち不思議ふしぎ根強ねづよあらわれていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
と富士男が真剣しんけんな顔をしていった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
しかし、それも結局は何の役にもたたなかったのだ。では、なぜ役にたたなかったのか。今、君らに真剣しんけんに考えてもらいたいのはこの一点だ。——
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
と、彼女は小娘の夢のようなことを真剣しんけんに考えた。そしてなお、できるだけ窓の下へ近づいて両の手で口をかこみ、忍びやかに、しかし懸命けんめいをこめて
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かあさんも、おねえさんも、まさちゃんの、いつにない真剣しんけんなようすをて、おかしそうに、おわらいになりました。
ペスをさがしに (新字新仮名) / 小川未明(著)
近年きんねん敬神けいしんねんうすらぎましたせいか、めっきり参拝者さんぱいしゃかずり、また熱心ねっしんさもうすらいだようにかんじられますが、むかしたいそう真剣しんけんかたおおかったものでございます。
竹童はいまや必死のところ、かし棒切ぼうきれを風車かざぐるまのようにふって、燕作の真剣しんけんと火を飛ばしてたたかっているのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おなとしごろの青年せいねんあそあるいているのに、それをうらやむいろもなく、また自分じぶんのようすをずかしいなどとかんがえず、仕事しごとたいして真剣しんけんなのにうたれました。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくんだら、帰還きかんしたとき、老母ろうぼ言伝ことづてをしてくれないか。」と、真剣しんけん調子ちょうしで、いいました。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くらべならまだしものこと——真剣しんけん白刃交しらはまぜをするには、悲しいかな、まだそれだけの骨組もできていず、剣をとってのわざもなし、第一、腰に差してる刀というのが
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じいさんは、みみかたむけました。それにしてはなんとなく、そのは、真剣しんけんかなしかったのです。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただしくきることは、どうして、このように不安ふあんなのであろうかと、正直しょうじきにいうと、はじめて、叔父おじさんは、正面しょうめんから、じっとぼくかおて、真剣しんけん態度たいどしめしたのでした。
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おじいさん、息子むすこさんのこえがきこえるわけではないが、ただあちらのようすがわかるというだけですよ。」と、主人しゅじんは、あまりおじいさんが、真剣しんけんかおつきをしているので
夜の進軍らっぱ (新字新仮名) / 小川未明(著)
母親ははおやは、真剣しんけんになって、子守歌こもりうたをうたいはじめるのでした。ははあいからながる、なつかしい、ほそいしらべは、ひか絹糸きぬいとのように、れんとして、れずに、つづくのでした。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こういって、自分じぶん真剣しんけんになって、みみをかたむけながら、とおくのおといたりしました。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、としちゃんだけは、真剣しんけんでした。そのうち、ラジオのハーモニカが、はじまりました。名人めいじんだけあって、それはうまいもので、ピアノのれば、バイオリンのたのであります。
年ちゃんとハーモニカ (新字新仮名) / 小川未明(著)
おまえのことをいちばん真剣しんけんかんがえているのが、わたしとさきでないか。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しばらくのあいだ教室きょうしつは、しんとして、真剣しんけん空気くうきがみなぎりました。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
真剣しんけんにいいっているのをくと、いじらしいがして。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
といって、真剣しんけんかんがえていました。
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)