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留
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や
ふりがな文庫
“
留
(
や
)” の例文
夜陰のこんな場所で、もしや、と思う時、
掻消
(
かきき
)
えるように音が
留
(
や
)
んで、ひたひたと小石を
潜
(
くぐ
)
って響く水は、忍ぶ
跫音
(
あしおと
)
のように聞える。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夜陰
(
やいん
)
のこんな場所で、もしや、と思ふ時、
掻消
(
かきき
)
えるやうに音が
留
(
や
)
んで、ひた/\と小石を
潜
(
くぐ
)
つて響く水は、忍ぶ
跫音
(
あしおと
)
のやうに聞える。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
博士
神巫
(
いちこ
)
が、亭主が人殺しをして、唇の色まで変って震えているものを、そんな事ぐらいで
留
(
や
)
めはしない……冬の日の暗い納戸で
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一
方
(
ぱう
)
が
小高
(
こだか
)
い
土手
(
どて
)
に
成
(
な
)
ると、いまゝで
吹
(
ふ
)
いて
居
(
ゐ
)
た
風
(
かぜ
)
が
留
(
や
)
むだ。
靄
(
もや
)
も
霞
(
かすみ
)
もないのに、
田畑
(
たはた
)
は一
面
(
めん
)
にぼうとして、
日中
(
ひなか
)
も
春
(
はる
)
の
夜
(
よ
)
の
朧
(
おぼろ
)
である。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
取縋
(
とりすが
)
る松の枝の、海を分けて、
種々
(
いろいろ
)
の波の調べの
懸
(
かか
)
るのも、人が縋れば根が揺れて、
攀上
(
よじのぼ
)
った
喘
(
あえ
)
ぎも
留
(
や
)
まぬに、汗を
冷
(
つめと
)
うする風が絶えぬ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
前刻
(
さっき
)
から響いていた、
鉄棒
(
かなぼう
)
の音が、ふッと
留
(
や
)
むと、さっさっと沈めた
鞋
(
わらじ
)
の響き。……夜廻りの威勢の可いのが、肩を並べてずっと寄った。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
汐
(
しお
)
に、そこら中の人声を
浚
(
さら
)
えて
退
(
の
)
いて、
果
(
はて
)
は
遥
(
はるか
)
な
戸外
(
おもて
)
二階の
突外
(
とっぱず
)
れの角あたりと覚しかった、
三味線
(
さみせん
)
の
音
(
ね
)
がハタと
留
(
や
)
んだ。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
風はそのまま
留
(
や
)
んでいる。広い河原に
霞
(
かすみ
)
が流れた。渡れば
鞠子
(
まりこ
)
の
宿
(
しゅく
)
と聞く……梅、
若菜
(
わかな
)
の句にも聞える。少し渡って見よう。
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渚
(
なぎさ
)
は
浪
(
なみ
)
の雪を敷いて、砂に結び、
巌
(
いわお
)
に消える、その
都度
(
つど
)
音も聞えそう、
但
(
ただ
)
残惜
(
のこりおし
)
いまでぴたりと
留
(
や
)
んだは、きりはたり
機
(
はた
)
の音。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
二人
(
ふたり
)
三人
(
さんにん
)
、
乘組
(
のりく
)
んだのも
何處
(
どこ
)
へか
消
(
き
)
えたやうに、もう
寂寞
(
ひつそり
)
する。
幕
(
まく
)
を
切
(
き
)
つて
扉
(
とびら
)
を
下
(
お
)
ろした。
風
(
かぜ
)
は
留
(
や
)
んだ。
汽車
(
きしや
)
は
糠雨
(
ぬかあめ
)
の
中
(
なか
)
を
陰々
(
いん/\
)
として
行
(
ゆ
)
く。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
はてな、と夫人は、白き
頸
(
うなじ
)
を
枕
(
まくら
)
に着けて、おくれ毛の音するまで、がッくりと
打
(
うち
)
かたむいたが、身の
戦
(
わなな
)
くことなお
留
(
や
)
まず。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
密
(
そつ
)
と
揺
(
ゆす
)
ぶる、
手
(
て
)
に
従
(
したが
)
つて
揺
(
ゆす
)
ぶれるのが、
死
(
し
)
んだ
魚
(
うを
)
の
鰭
(
ひれ
)
を
摘
(
つま
)
んで、
水
(
みづ
)
を
動
(
うご
)
かすと
同
(
おな
)
じ
工合
(
ぐあひ
)
で、
此方
(
こちら
)
が
留
(
や
)
めれば
静
(
じつ
)
と
成
(
な
)
つて、
浮
(
う
)
きも
沈
(
しづ
)
みもしない
風
(
ふう
)
。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
汽車
(
きしや
)
は
倒
(
さかさま
)
に
落
(
お
)
ちて
留
(
や
)
まない。
煙
(
けむり
)
が
濃
(
こ
)
いのが
岩
(
いは
)
を
崩
(
くづ
)
して、
泥
(
どろ
)
を
掻
(
か
)
き/\、
波
(
なみ
)
のやうな
土
(
つち
)
を
煽
(
あふ
)
つて、
七轉八倒
(
しちてんばつたう
)
あがき
悶
(
もだ
)
ゆる。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
鰒汁
(
てっぽう
)
とこいつだけは、命がけでも
留
(
や
)
められねえんだから、あの人のお酌でも頂き兼ねねえ。軍医の奥さんにお手のもので、
毒薬
(
いっぷく
)
装
(
も
)
られちゃ大変だ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
トタンに
件
(
くだん
)
の幽霊は
行燈
(
あんどん
)
の火を
吹消
(
ふっけ
)
して、暗中を走る
跫音
(
あしおと
)
、遠く、遠く、遠くなりつつ、長き廊下の
尽頭
(
はずれ
)
に至りて、そのままハタと
留
(
や
)
むべきなり。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(何だい、)と聞かれたので、法学士が大口開いて(掏摸だよ。)と言われたので、ふッつり
留
(
や
)
める気になったぜ、犬畜生だけ、
情
(
なさけ
)
には
脆
(
もろ
)
いのよ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あツ、」とまた
烈
(
はげ
)
しい
婦人
(
おんな
)
の悲鳴、此の
際
(
とき
)
には、其の
掻
(
もが
)
くにつれて、
榛
(
はん
)
の木の
梢
(
こずえ
)
の絶えず動いたのさへ
留
(
や
)
んだので。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まあ、可い加減にして、
疾
(
はや
)
く一人貰っちゃどうだ。人の事より御自分が。そうすりゃ
遊蕩
(
あそび
)
も
留
(
や
)
みます。安保箭五郎悪い事は言わないが、どうだ。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一ツずつそのなかばを取りしに思いがけず真黒なる蛇の小さきが紫の
蜘蛛
(
くも
)
追い
駈
(
か
)
けて、
縦横
(
たてよこ
)
に走りたれば、見るからに毒々しく、あまれるは残して
留
(
や
)
みぬ。
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とはらりと立って、
脛
(
はぎ
)
白き、敷居際の立姿。やがてトントンと
階下
(
した
)
へ下りたが、泣き
留
(
や
)
まぬ譲を横抱きに、しばらくして品のいい、母親の
形
(
なり
)
で座に返った。
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
首途
(
かどで
)
に、くそ
忌々
(
いまいま
)
しい事があるんだ。どうだかなあ。さらけ
留
(
や
)
めて、一番新地で飲んだろうかと思うんだ。」
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まあ、何にしろ困ったものだ、今夜にも宵啼が
留
(
や
)
みさえすりゃ、ああもこうもないんだけれど、留まなきゃあ、事のねえ内よ、気の毒だが仕方がねえ。」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おいらは
留
(
や
)
めようと思ったが、この景気じゃあ、とても
引込
(
ひっこ
)
んでいられない。」「はあ、何に化けるね。」
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
身の
戦
(
わなな
)
くのがまだ
留
(
や
)
まねば、腕を組違えにしっかと両の肩を抱いた、
腋
(
わき
)
の下から脈を打って、
垂々
(
たらたら
)
と
冷
(
つめた
)
い汗。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
落
(
お
)
ち
落
(
お
)
ちて
森
(
もり
)
寂
(
しづか
)
に、
風
(
かぜ
)
留
(
や
)
むで
肅殺
(
しゆくさつ
)
の
氣
(
き
)
の
充
(
み
)
つる
處
(
ところ
)
、
枝
(
えだ
)
は
朱槍
(
しゆさう
)
を
横
(
よこた
)
へ、
薄
(
すゝき
)
は
白劍
(
はくけん
)
を
伏
(
ふ
)
せ、
徑
(
こみち
)
は
漆弓
(
しつきう
)
を
潛
(
ひそ
)
め、
霜
(
しも
)
は
鏃
(
やじり
)
を
研
(
と
)
ぐ。
峻峰
(
しゆんぽう
)
皆
(
みな
)
將軍
(
しやうぐん
)
、
磊嚴
(
らいがん
)
盡
(
こと/″\
)
く
貔貅
(
ひきう
)
たり。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ええ、
物好
(
ものずき
)
に試すって、呼んだ方もありましたが、地をお謡いなさる方が、何じゃやら、ちっとも、ものにならぬと言って、すぐにお
留
(
や
)
めなさいましたの。」
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いずれも踊り
留
(
や
)
む。後の烏三羽、身を開いて一方に翼を交わしたるごとく、腕を組合せつつ立ちて
視
(
なが
)
む。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いづれも踊り
留
(
や
)
む。後の烏三羽、身を
開
(
ひら
)
いて一方に翼を
交
(
か
)
はしたる如く、腕を
組合
(
くみあわ
)
せつゝ立ちて
視
(
なが
)
む。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから
戸外
(
おもて
)
へ出ると雪はもう
留
(
や
)
んでいた、寮の前へ
行
(
ゆ
)
くとひっそりかんよ。人騒せなと、思ったけれど、あやまる分と、声をかけて、戸を叩いたけれど返事がねえ。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、そのまま何もなくバッタリ
留
(
や
)
んだ。——聞け、時に、ピシリ、ピシリ、ピシャリと肉を
鞭打
(
むちう
)
つ音が響く。チンチンチンチンと、
微
(
かすか
)
に鉄瓶の湯が
沸
(
たぎ
)
るような音が
交
(
まじ
)
る。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
巡査の靴音が橋の上に
留
(
や
)
んで、
背後向
(
うしろむき
)
のその黒い影が、探偵小説の
挿画
(
さしえ
)
のように、保険会社の鉄造りの門の下に、寂しく
描出
(
えがきいだ
)
された時、歎息とともに葛木はそう云った。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
処へ、母屋から
跫音
(
あしおと
)
が響いて来て、
浅茅生
(
あさぢう
)
を
颯々
(
さっさっ
)
、
沓脚
(
くつぬぎ
)
で、カタリと
留
(
や
)
むと、所在紛らし、谷の上の
靄
(
もや
)
を
視
(
なが
)
めて縁に立った、私の直ぐ
背後
(
うしろ
)
で、
衣摺
(
きぬず
)
れが、はらりとする。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「最初は、庭に
手水鉢
(
ちょうずばち
)
があります、その雨戸がカタリといいましたっけ、縁側を誰か
歩行
(
ある
)
いて来ます、変だと思ってる内に、広間の前の処で
跫音
(
あしおと
)
が
留
(
や
)
んだんです。へい、」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其処
(
そこ
)
で、
立
(
た
)
ち
佇
(
どま
)
って、ちょっと気を
注
(
つ
)
けたが、もう
留
(
や
)
んで
寂
(
ひっそ
)
りする。——秋の彼岸過ぎ三時
下
(
さが
)
りの、西日が
薄曇
(
うすぐも
)
った時であった。この秋の空ながら、まだ降りそうではない。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
既
(
すで
)
に
目指
(
めざ
)
す
美女
(
びぢよ
)
を
囚
(
とら
)
へて、
思
(
おも
)
ふがまゝに
勝矜
(
かちほこ
)
つた
対手
(
あひて
)
に
向
(
むか
)
ふて、
要
(
い
)
らぬ
償
(
つくな
)
ひの
詮議
(
せんぎ
)
は
留
(
や
)
めろ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一人
剥
(
む
)
いていた柿を
引手繰
(
ひったく
)
る、と仕切に
肱
(
ひじ
)
を立てて、
頤
(
あご
)
を、
新高
(
しんたか
)
に居るどこかの島田
髷
(
まげ
)
の上に突出して、
丸噛
(
まるかじ
)
りに、ぼりぼりと
喰
(
くい
)
かきながら、(
留
(
や
)
めちまえ、)と舞台へ
喚
(
わめ
)
く。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遠くで、
内井戸
(
うちいど
)
の水の音が
水底
(
みなそこ
)
へ響いてポタン、と鳴る。不思議に風が
留
(
や
)
んで
寂寞
(
ひっそり
)
した。
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もし
留
(
や
)
みませぬと、
迚
(
とて
)
も
路
(
みち
)
は
通
(
つう
)
じません、
降
(
ふり
)
やんでくれさへすれば、
雪車
(
そり
)
の
出
(
で
)
ます
便宜
(
たより
)
もあります、
御存
(
ごぞん
)
じでもありませうが、
此
(
こ
)
の
邊
(
へん
)
では、
雪籠
(
ゆきごめ
)
といつて、
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
で
一夜
(
いちや
)
の
内
(
うち
)
に
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
泣いて、……泣いている……と囁く声が、ひそひそと立って、ふと
留
(
や
)
むと
寂然
(
しん
)
とした。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
別して、例の縁側散歩は
留
(
や
)
められません。……一日おいて、また
薄暮合
(
うすくれあい
)
、おなじ東の縁の真中の柱に、屋根の落葉と鼻を
突合
(
つきあ
)
わせて
踞
(
しゃが
)
んで、カーン、あの
添水
(
そうず
)
を聞き澄んでいたのです。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「学校へ通うのに足場が悪くって、道が遠くって仕様がないから
留
(
や
)
めたんだ。」
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
精霊棚の
瓢箪
(
ひょうたん
)
が、ひとりでにぽたりと落ちても、御先祖の
戒
(
いましめ
)
とは思わねえで、酒も
留
(
や
)
めねえ
己
(
おら
)
だけんど、それにゃ
蔓
(
つる
)
が枯れたちゅう道理がある。風もねえに芋の葉が宙を
歩行
(
ある
)
くわけはねえ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何、お風呂だえ、風呂は
留
(
や
)
めだ。こう見えても余り水心のある方じゃねえ。はははは、湯に水心も
可笑
(
おかし
)
いが、どんどん湧いてるは海だろう。——すぐに御膳だ。膳の上で一銚子よ。分ったか。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
壁は白いが、
真暗
(
まっくら
)
な中に居て、ただそればかりを力にした、玄関の遠あかり、車夫部屋の例のひそひそ声が、このもの音にハタと
留
(
や
)
んだを、気の毒らしく思うまで、
今夜
(
こよい
)
はそれが嬉しかった。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
赤鬼の面という……甲羅を
引
(
ひっ
)
からげたのを、コオトですか、羽織ですか、とに角紫色の袖にぶら下げた形は——三日月、いや、あれは寒い
時雨
(
しぐれ
)
の降ったり
留
(
や
)
んだりの
日暮方
(
ひくれがた
)
だから、蛇の目とか
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私が居る……この朝だけ、その鷭
撃
(
うち
)
を
留
(
や
)
めさしてはもらえないだろうか。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「うんや、ここいらを
歩行
(
ある
)
くのに
怨霊
(
おんりょう
)
を
得脱
(
とくだつ
)
させそうな
頼母
(
たのも
)
しい道徳は一人も居ねえ。それに一しきり一しきりひッそりすらあ、またその時の寂しさというものは、まるで時雨が
留
(
や
)
むようだ。」
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
其
(
そ
)
の
音
(
おと
)
さへ、
途
(
と
)
留
(
や
)
むか、と
耳
(
みゝ
)
に
響
(
ひゞ
)
いて、キリ/\と
細
(
ほそ
)
く
透
(
とほ
)
る。……
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
が、
私
(
わし
)
は、
無駄
(
むだ
)
ぢや
留
(
や
)
めい、と
勧
(
すゝ
)
める……
其
(
そ
)
の
理由
(
わけ
)
を
言
(
い
)
うて
聞
(
き
)
かさう。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
茸
(
きのこ
)
だから
生
(
は
)
えると
言
(
い
)
つて、むしつては
捨
(
す
)
て、むしつては
捨
(
す
)
てたので、やがて
妖
(
えう
)
は
留
(
や
)
んで、
一家
(
いつか
)
に
何事
(
なにごと
)
の
觸
(
さは
)
りもなかつた——
鐵心銷怪
(
てつしんくわいをけす
)
。
偉
(
えら
)
い!……と
其
(
そ
)
の
編者
(
へんじや
)
は
賞
(
ほ
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
私
(
わたし
)
は
笑
(
わら
)
はれても
仕方
(
しかた
)
がない。
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
留
常用漢字
小5
部首:⽥
10画
“留”を含む語句
立留
逗留
踏留
留置
小留
歌留多
繋留
停留場
留守中
滯留
御逗留
取留
引留
留針
長逗留
呼留
留金
抑留
三留野
突留
...