“榛”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はん66.0%
はしばみ21.3%
はり6.4%
はんのき5.3%
はりのき1.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
散り/″\に並んだ眞青なはんの木、植ゑつけられた稚い稻田、夏の初めの野菜畠、そして折々汽車の停る小さな停車場には蛙の鳴く音など聞えてゐた。
水郷めぐり (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
車に乗った天女に抱かれて、多人数たにんずに囲まれてかよった時、庚申堂こうしんどうわきはんの木で、なかば姿をかくして
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
オットーはクリストフの言葉を待った。しかしクリストフは聞こえなかったようなふりをしていた。はんの枝を杖に切っていた。オットーはまた言った。
夜ごとの月はしだいにあきらかになった。墓地と畠とを縁取へりどったはんの並木が黒く空に見えて、大きないもの葉にはキラキラと露が光った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
田圃たんぼはん地味ぢみつぼみたぬすこしづゝびてひら/\とうごやすくなる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
青年はそのはしばみの樹のそばの井戸の所在ありかを老人に訊いてみるが、老人はもう五十年もこの島にゐて、まだ井戸の水が湧き出すのを見ない。
鷹の井戸 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
そして裸になつた山櫨さんざしはしばみの藪も、まるで道路の中央に敷いてある白いり減らした石のやうにじつと身動きもしないのであつた。
風鈴草ふうりんさういろつぽいの鈴、春ここにちりりんと鳴る、はしばみの樹が作る筋違骨すぢかひぼねしたうづくまる色よい少女をとめ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
やがて時計が四時を打とうとしているので、にんじんは、矢もたてもたまらず、ルピック氏と、兄貴のフェリックスを起こすのである。二人は、裏庭のはしばみの木の下で眠っていた。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
処はジル湖の大部を占める、はしばみの林に掩はれた、平な島の岸である、其傍には顔のあかい十七歳の少年が、蠅を追つて静な水の面をかすめるつばくらの群を見守りながら坐つてゐる。
そこは水戸家の下屋敷から五六町も東へはいったところで、左に源心寺という寺の森があり、東側ははりの林や、畑や田や、堀や農家などのひろい展望がある。
おれの女房 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
茅草ちがや・尾花の布きなびく草の海の上に、ならはりの雑木林が長濤のようにうち冠さっていた。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
武蔵都筑つづき二俣川ふたまたがわ村大字二俣川字はり小字ドウマン谷
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
山はまだ花やや寒きはりの枯れ枯れの枝に蒿雀あをじつどへり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かれ天皇、そのうたきを畏みて、はりの木の上に登りましき。
白樺や、はんのきや、団栗どんぐりなどは、十月の初めがた既に黄や紅や茶褐に葉色を変じかけていた。露の玉は、そういう葉や、霜枯れ前の皺びた雑草を雨後のようにぬらしていた。
パルチザン・ウォルコフ (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
一面に青青と繁った短い笹を下草にしてかんばはんのきの類などの交ったつがの深い林である。
秋の鬼怒沼 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
はんのきの立木が半ば水に浸って、河の上に枝を垂れていた。
彼女は時々覚まします、睡つてゐるはんのき
不思議だねえ。だが、接骨木ばかりが蟻の牝牛共のゐる藪ではないんだよ。木虱は他のいろんな木にも見つける事が出来るのだ。キヤベツや薔薇の藪にたかつてゐる木虱は緑色をしてゐるし、接骨木や、豆や、けしや、蕁麻いらくさや、柳、ポプラのは黒、樫とあざみのは青銅色、夾竹桃や胡桃くるみとかはんのきとかにつくのは黄色だ。
喜望峰のあちらからくる巻雲サアラスはりのきの枝にかれ、丸いかげを落としながら飛行船の銀の腹が、その上を通りすぎる。
希臘十字 (新字旧仮名) / 高祖保(著)