はり)” の例文
そこは水戸家の下屋敷から五六町も東へはいったところで、左に源心寺という寺の森があり、東側ははりの林や、畑や田や、堀や農家などのひろい展望がある。
おれの女房 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
茅草ちがや・尾花の布きなびく草の海の上に、ならはりの雑木林が長濤のようにうち冠さっていた。榛の木は房玉のような青い実をつけかけ、風が吹くと触れ合ってかすかな音を立てた。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
かれ天皇、そのうたきを畏みて、はりの木の上に登りましき。ここに御歌よみしたまひしく
山はまだ花やや寒きはりの枯れ枯れの枝に蒿雀あをじつどへり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
武蔵都筑つづき二俣川ふたまたがわ村大字二俣川字はり小字ドウマン谷
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ほたほたと掻きて垂らせる朱のうるしはりの雄花は春早き花
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あり はりの木の枝。 (歌謠番號九九)
向畑にはりの花かと見ゆる房ほたほたと赤し出でて見んとす
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
はりの花くれなゐふかし遥か見る丹沢山に雪の消えつつ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)