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齅
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か
ふりがな文庫
“
齅
(
か
)” の例文
此不自然な昔人の考へを、下に持つた物語として見なければ、
香
(
カグ
)
の
木実
(
コノミ
)
ではないが、匂ひさへも
齅
(
か
)
ぎ知ることが出来ないであらう。
妣が国へ・常世へ
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
そこに何時の間に
齅
(
か
)
ぎつけてきたのか、れいの鼠の皮のような茶いろの帽子をもって、女がほそながく立っていたからであった。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
人
若
(
も
)
し彼に咫尺するの栄を得ば、
啻
(
ただ
)
にその目の
類無
(
たぐひな
)
く
楽
(
たのしま
)
さるるのみならで、その鼻までも
菫花
(
ヴァイオレット
)
の多く
齅
(
か
)
ぐべからざる
異香
(
いきよう
)
に
薫
(
くん
)
ぜらるるの
幸
(
さいはひ
)
を受くべきなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
あまりそつくりなので私は前に進んで「パイロット」と云つてみた。すると起き上つて私の方にやつて來て私を
齅
(
か
)
いだ。撫でゝやると、大きな尻尾を振つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
道二つに
岐
(
わか
)
れて左の方に入れば、
頻都廬
(
びんずる
)
、
賽河原
(
さいのかわら
)
、地蔵尊、見る目、
齅
(
か
)
ぐ鼻、
三途川
(
さんずのかわ
)
の
姥石
(
うばいし
)
、白髭明神、恵比須、三宝荒神、大黒天、弁才天、十五童子などいうものあり。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
人々に
依
(
よ
)
つて犂返へされた湿つぽい土からはほか/\した白い水蒸気が立ちのぼり、それと共に永い冬の間どこにも
齅
(
か
)
ぐことの出来なかつた或る一種の生々した
香
(
にほひ
)
が発散してゐた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
毛色のかわった犬
一疋
(
いっぴき
)
、
匂
(
におい
)
の高い総菜にも、見る目、
齅
(
か
)
ぐ鼻の狭い土地がら、
俤
(
おもかげ
)
を夢に見て、山へ百合の花折りに
飄然
(
ひょうぜん
)
として出かけられたかも
料
(
はか
)
られぬを、狭島の夫人、夜半より
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
船長は自分の鼻を疑うように、しきりに空気を
齅
(
か
)
ぎながら、僕にきいた。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
周囲の人と自分とを
齅
(
か
)
ぎわけ得るやうな人もなささうに見えた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
袴野の
下著
(
したぎ
)
を取り出したが、ふと、野伏の下著もそれにまぜて抱え、日あたりの谷間の岩のうえに坐り込み、野伏の下著をひろげると、その臭気を
齅
(
か
)
いでさわりを頬にあてて
触
(
さわ
)
ってみた
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「鹽は——
齅
(
か
)
ぎ鹽は?」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
乳房から下腹部にかけて例のじいんとして来た、彼女はたぐり寄せて
縋
(
すが
)
るようにまた下著を
齅
(
か
)
いだ、そして勢好く裸になると谷川の淵に飛びこんだ、泳ぎ終ると下著をそれぞれにすすぎ
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
櫛にしては珍らしい絵で、その上、おあいが鼻のさきへ持って行って
齅
(
か
)
ごうとしたが、
一向
(
いっこう
)
あぶらの臭いがしなかった。なんだか水苔のような、じめじめした匂いが湿って鼻孔を圧してきた。
蛾
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「百合根、いただくわ、もやしは厭よ。じゃ、すぐ戻るわ。おばさま、もう、白椿が咲いているからお
剪
(
き
)
りになっていいわよ、とてもいい匂いだから、俟っている間に
齅
(
か
)
いでいらっしゃい。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
齅
部首:⿐
24画