黒羅紗くろらしや)” の例文
金六が懷ろから出して見せたのはその頃では申分のない贅澤とされた、黒羅紗くろらしやの懷ろ煙草入、銀延ぎんのべの細い煙管まで添へてあつたのです。
次にほゞ格之助と同じ支度の平八郎が、黒羅紗くろらしやの羽織、野袴のばかまで行く。茨田いばらたと杉山とがやりを持つて左右に随ふ。若党わかたう曾我そが中間ちゆうげん木八きはち吉助きちすけとが背後うしろに附き添ふ。次に相図あひづの太鼓が行く。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
この人の紹介せうかい社中しやちうに加はる事になつたのでした、其頃そのころ巌谷いはや独逸協会学校どいつけふくわいがくかうまして、おばうさんの成人せいじんしたやうな少年で、はじめ編輯室へんしうしつに来たのは学校の帰途かへりで、黒羅紗くろらしや制服せいふくを着てました
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
なつ黒羅紗くろらしや半外套はんぐわいとう、いくら雨模樣あまもやうでも可怪をかしい扮裝みなりだ。