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黒瞳
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くろめ
ふりがな文庫
“
黒瞳
(
くろめ
)” の例文
その時小林の太い
眉
(
まゆ
)
が一層
際立
(
きわだ
)
ってお延の視覚を
侵
(
おか
)
した。下にある
黒瞳
(
くろめ
)
はじっと彼女の上に
据
(
す
)
えられたまま動かなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
妹は
嚴
(
いか
)
つく口を噤んで
黒瞳
(
くろめ
)
を相手の顏へ据ゑたが、すると、馬越はそのわざとらしい浮薄な態度にむかつとして、急に起ち上つて玄關の方へ出た。
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
一寸首を傾げて、
黒瞳
(
くろめ
)
で彼を見上げた、その表情に、その時、はじめて媚らしいものが現れた。三造は頭をふって、もう一度「さよなら。」と言った。
プウルの傍で
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼の眼は
黒瞳
(
くろめ
)
がちで、やさしいうるほひがあつた。眉も恰好がよかつた。鼻筋もよく通つて、その下には
稍
(
やや
)
肉感的な紅味のある唇が心持ふくらんで持上つてゐた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
何か見
詰
(
つ
)
めてでもゐると、
黒瞳
(
くろめ
)
が
凝如
(
じつ
)
と
据
(
すわ
)
ツてとろけて了ひそうになツてゐる………
然
(
さ
)
うかと思ふと、
伏
(
ふし
)
目に物など見詰めてゐて、ふと
頭
(
あたま
)
を擡げた時などに、
甚
(
ひど
)
く
狼狽
(
うろた
)
えたやうな
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
▼ もっと見る
お前だつて夏の間、町が海水浴の人達であふれてゐる頃の眼つきは、歸つてくると何時もとはちがふ、
浮
(
う
)
はついて
黒瞳
(
くろめ
)
がふくれてゐる、冬の間は死んでゐるやうに動かないと言つた。
神のない子
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
黒瞳
(
くろめ
)
が流れてしまうぜ、ホラ、おいらを見ねえ……東西東西! 物真似名人、トンガリ長屋のチョビ安
太夫
(
だゆう
)
、ハッ! これは、横町の
黒猫
(
くろ
)
が、
魚辰
(
うおたつ
)
の盤台をねらって、抜き足差し足
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
雨脚
(
あまあし
)
の強弱はともかくも、女は
雨止
(
あまや
)
みを待つもののごとく、静に薄暗い空を仰いでいた。額にほつれかかった髪の下には、
潤
(
うるお
)
いのある大きな
黒瞳
(
くろめ
)
が、じっと遠い所を眺めているように見えた。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鼻が少し上向だつたが、円顔の
黒瞳
(
くろめ
)
勝の顔には愛嬌があつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
深く
沍々
(
さえざえ
)
とした彼女の
黒瞳
(
くろめ
)
は自然と出て来る涙の為に輝いた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大きな
黒瞳
(
くろめ
)
のまはりが青味の
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
と、その稍落ちつきのない女らしい
黒瞳
(
くろめ
)
がちな眼を道平に向けた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
黒
常用漢字
小2
部首:⿊
11画
瞳
常用漢字
中学
部首:⽬
17画
“黒瞳”で始まる語句
黒瞳勝