さわら)” の例文
△「おりう云ったっけが間に合わねえから、此の玉子焼にさわらの照焼は紙を敷いて、手拭に包み、猪口ちょこを二つばかりごまかしてこう」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「俺のところだって、この頃は鮎のフライがある。それにさわらは今しゅんだな。コールドビーフが食べたいな。おい。」
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
クグシ 喜界島ではさわらその他の大きな魚を捕ったとき、良いところは皆一定の大きさに切って、串に刺し火の側に立て、好い色にあぶれると抜いて保存しておく。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
なんでも春で、きれいなたいさわらなどがぴちぴちしていたことを覚えている。友人はその魚を仲買人の手から数ひき買って帰り、それをじぶんで料理して、私に御響応ごちそうした後で
妖影 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「旦那様は御塩焼の方がよろしゅう御座いますか。只今は誠に御魚の少い時ですから、この鰈はめずらしゅう御座いますよ。かつおさわらなぞはまだ出たばかりで御座いますよ」
刺繍 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
春のおさかなさわら、ひらめ、などと、ノートさせられて「今日午後六時の汽車にて帰す」と浜子が書き添え、認印みとめを押してよこした年少のころ、浜子の母人ははびとはホクホクして
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
露伴ろはん先生の評釈では、ふなの鮓かさわらの鮓となっているが、「又も」と「大事の」が、相当長期間の保存を意味するようにみえる。そうするとかぶらずしの方が、ぴったりする。
かぶらずし (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
日本橋でうまいさわらの白味噌づけを買い、はしらとわさびの小皿と並べて食卓を賑わすとか。
二つの庭 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
街頭の柳散尽ちりつくして骨董屋の店先に支那水仙の花開き海鼠なまこは安くぶりさわらに油乗って八百屋の店に蕪大根色白く、牡蠣フライ出来ますの張紙洋食屋の壁に現わる。冬は正に来れるなり。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
さわら (米国産) 七七・七八 一九・二一 一・六六 一・三五
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
もうさわらがとれ出すな。
屋上の狂人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
たいでもさわらでも、どっちでもできます、お魚軒さしみがお入用いりようなら、お魚軒もとれます」
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
妻君「ヘイ妙ですね、このさわらは」お登和
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)