あはび)” の例文
二つのたこが帆となり船となつて海上を走つて行く話や、あはび取りの漁女あまが盥に乳含児をのせて置いて、水底から潜り出て来ては、太い息を吹きながら
伊良湖の旅 (新字旧仮名) / 吉江喬松(著)
「立派な大店おほだなの内儀さんですよ。押しも押されもしませんや。三人の繼娘さへなきや、あんな仕合せな人は江戸中にもないでせう。讃州志度であはびを捕つてゐた人ですもの」
なんぞやあともかたもこひいそあはびの只一人ひとりものおもふとは、こゝろはんもうらはづかし、人知ひとしらぬこゝろなやみに、昨日きのふ一昨日をとゝひ雪三せつざう訪問おとづれさへ嫌忌うるさくて、ことばおほくもはさゞりしを
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
生きの身の吾が身いとしみしくしくと腐れあはびを日に干しにけり
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あはびさだをか石陰子かせよけん、………」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
赤硝子窻腐れあはびを日に干すとしよんぼり母のに立たす見ゆ
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あはび取ろとて海のそこ
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)