饑餓きが)” の例文
彼の大きくくぼんだ眼窩がんかや、その突起したあごや、その影のように暗鬱な顔の色には、道に迷うた者の極度の疲労と饑餓きがの苦痛が現れていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
ところが、飢えたる者は人の美饌びせんくるを見ては愈々飢のくるしみを感ずる道理がある。ける者は人の饑餓きがに臨めるを見ては、余計に之を哀れむの情を催す道理がある。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
子供はみじめなきたない姿で、その頬には饑餓きがの色がただよい、その眼には恐怖の色が浮かんでいた。
当局者はく罪を罰するを知れり、乞い問う、罪をあがない得たる者を救助するの法ありや、再び饑餓きがの前にさらして、むしろ監獄の楽しみを想わしむることなきをし得るや。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
この主張は、実に、人類の食物の半分を奪おうとくわだてるものである。換言かんげんすれば、この主張者たちは、世界人類の半分、則ち十億人を饑餓きがによって殺そうと計画するものではないか。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それは、此の国が貧しく饑餓きがに脅されており、又、現在、彼等酋長達の家や部落が、長い間の主人の不在のために、整理を必要としていることを、自分が良く知っているからだ、ということ。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
是れ彼が無惨の死に終りし動力モチイブなり、源因なり、伏線なり。別言すれば彼は術語の罪過を犯せしものなり。孔子の饑餓きがくるしめられしことあるも、孟子まうし轗軻かんか不遇に終りしも、帰する所は同一理なり。
罪過論 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
「酸素饑餓きがという状態ですな。」
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
分与ぶんよしたる田畑をば親族の名に書き換え、即ちこれに売り渡したるていに持てして、その実は再び本家ほんけゆうとなしたるなど、少しも油断なりがたく、彼の死後は殊更ことさら遺族の饑餓きがをもかえりみず
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
(兵卒らこの時ようや饑餓きがを回復し良心の苛責かしゃくえず。)
饑餓陣営:一幕 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
饑餓きがの 陣営じんえい 日にわたり
饑餓陣営:一幕 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)