めし)” の例文
いはれると以前もと不出來ふでかしをかんがしていよ/\かほがあげられぬ、なん此身このみになつて今更いまさらなにをおもふものか、めしがくへぬとてもれは身體からだ加減かげんであらう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
旅で隨分延びた髮を五分刈りに刈らせ、入浴して來てから、義雄は夕飯に初めて自分の下宿屋のめしを喰つた。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
三枚の衣、一鉢のめしを得ることすら出来ないやうなものは何処にあるであらうか。いかなる貧者も、又いかなる下等社会の人達も、これよりは富んでゐるに相違ない。
谷合の碧い空 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
小供のみではない、下女はただ三度のめしを、台所のすみに置いてやるだけでそのほかには、ほとんど構いつけなかった。しかもその食はたいてい近所にいる大きな三毛猫が来て食ってしまった。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「汝の額の汗をもって汝のめしらえ」
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あさがほに我はめしくふをとこ哉
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
お力などと名ばかりもいつてくれるな、いはれると以前もと不出来ふでかしを考へ出していよいよ顔があげられぬ、何のこの身になつて今更何をおもふ物か、めしがくへぬとてもそれは身体からだの加減であらう
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)