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しょくよく
ふりがな文庫
“
食慾
(
しょくよく
)” の例文
六月になってからはお
食慾
(
しょくよく
)
が減退してお顔色も悪くおやつれが見えるようになった。衛門督は思いあまる時々に夢のように忍んで来た。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ウサギ屋のモナカを食い濃い
珈琲
(
コーヒー
)
をよく呑んだ。そうして朝は大概カレーライスの食卓だったことを忘れない。
食慾
(
しょくよく
)
などは
殆
(
ほとん
)
どなかった記憶である。
青い絨毯
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
これからは、
食慾
(
しょくよく
)
もすすむ一方です。本当に、あなたは、なんにもご存じないのですねえ。無理もない。これからは、私が相談相手になってあげてもよい。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
乱暴に白い
足袋
(
たび
)
を
踏
(
ふ
)
みつけられて、キャッと声を立てる、それもかえって
食慾
(
しょくよく
)
が出るほどで、そんな下手もの料理の食べ歩きがちょっとした
愉
(
たの
)
しみになった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
ゆうべスッカリ吐きだして、
今朝
(
けさ
)
は
胃袋
(
いぶくろ
)
が、カラッポになっているとみえて、
食慾
(
しょくよく
)
ばかりになった目つきで、しきりに、そこらをキョトキョトと見まわしながら
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
そうしてこのことが
食慾
(
しょくよく
)
を助けてくれる。これと共に、心に対してのみの用というが如きも無意味である。それは料理の模形を食物と呼ぶことが意味のないのと同じである。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
いくら猫でも、縛られていては
食慾
(
しょくよく
)
も出ないであろうし、小便も詰まってしまうであろう。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その花はさして美しくはないが、桜桃の実の熟するときは、すべての木々に小さな
提灯
(
ちょうちん
)
をつるしたようで、一面に周囲が
朱
(
あか
)
い点々となり、眼と
食慾
(
しょくよく
)
とを同時に誘惑したものである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
玄関
(
げんかん
)
の食卓には、墓場から盗って来たのであろう
桃
(
もも
)
色の
芍薬
(
しゃくやく
)
が一輪コップに差してあった。二人は
夢中
(
むちゅう
)
で食べた。実に美しくつつましい
食慾
(
しょくよく
)
である。彼女は犬のように満ちたりた眼をしている。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
食慾
(
しょくよく
)
はやっぱりあまり無い御様子だし、口数もめっきり少く、とても私は気がかりで、直治はまあ、東京で何をしているのだろう、あの小説家の上原さんなんかと一緒に東京中を遊びまわって
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ただ幸いにも私は胃が丈夫なのが取柄であると、この前の時に医者に云われた。こういう病気は痩せて来るのが普通であるが、奥さんは
食慾
(
しょくよく
)
が衰えないのが不思議ですねと、よくそう云われた。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大臣家では病人の扱いに大騒ぎをして、
祈祷
(
きとう
)
やその他に全力を尽くすのであった。病は最悪という容態でもない。ただ
食慾
(
しょくよく
)
がひどく減退して、もうこちらへ来てからは
果物
(
くだもの
)
をさえ取ろうとしなかった。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「ちっとも、おれの
食慾
(
しょくよく
)
をそそらないぞ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ニヒルと、
食慾
(
しょくよく
)
と、何か関係があるらしい。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
“食慾”の意味
《名詞》
食 慾(しょくよく 「食欲」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
「食欲」の別表記。
(出典:Wiktionary)
食
常用漢字
小2
部首:⾷
9画
慾
漢検準1級
部首:⼼
15画
“食”で始まる語句
食
食物
食卓
食事
食客
食堂
食膳
食餌
食禄
食料