頂上てつぺん)” の例文
この娘さんをあくまでも征服し背後の梢の頂上てつぺんに烏のやうに、とまつてゐて、自由自在にこの娘さんの、初心うぶな感情を操つてゐたならば
味瓜畑 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
麦藁帽子を冠らせたら頂上てつぺんで踊を踊りさうなビリケン頭に能く実が入つて居て、これも一分苅では無い一分生えの髪に、厚皮らしい赭い地が透いて見えた。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
その眼は妙に輝いて、聲まではずんでゐる。貴下あなたは東京の人だらう、と言ひながら頭の頂上てつぺんから爪先まで見上げ見下してゐる。何氣なく左樣だと答へると、何日にあちらを立つたと訊く。
熊野奈智山 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
荒浪あらなみ鞺々どう/\打寄うちよするみさき一端いつたんには、たか旗竿はたざほてられて、一夜作いちやづくりの世界せかい※國ばんこくはたは、その竿頭かんとうから三方さんぽうかれたつなむすばれて、翩々へんぺんかぜなびく、その頂上てつぺんにはほまれある日章旗につしようき
「ああ、奴さんここにござつたのかい!」と、木の頂上てつぺんから羊の頭がいた。
塔の頂上てつぺんに引返して、お照さんを殺せるわけが無いぢやありませんか
この娘さんをあくまでも征服し背後の梢の頂上てつぺんに烏のやうに、とまつてゐて、自由自在にこの娘さんの、初心うぶな感情を操つてゐたならば
小熊秀雄全集-15:小説 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
人さし指中指の二本でやゝもすれば兜背形とつぱいなり頭顱あたま頂上てつぺんを掻く癖ある手をも法衣ころもの袖に殊勝くさく隠蔽かくし居るに、源太も敬ひ謹んで承知の旨を頭下つゝ答へけるが
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
諸仏菩薩も御許しあれ、生雲塔の頂上てつぺんより直ちに飛んで身を捨てむ、投ぐる五尺の皮嚢かはぶくろは潰れて醜かるべきも、きたなきものを盛つては居らず、あはれ男児をとこ醇粋いつぽんぎ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)