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鞘走
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さやばし
ふりがな文庫
“
鞘走
(
さやばし
)” の例文
下人はそこで、腰にさげた
聖柄
(
ひじりづか
)
の
太刀
(
たち
)
が
鞘走
(
さやばし
)
らないように気をつけながら、
藁草履
(
わらぞうり
)
をはいた足を、その梯子の一番下の段へふみかけた。
羅生門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いうかいわないかのとき、ぶきみともぶきみ、そこの床の間の刀かけにかけてあった名人愛用の一刀が、するりと
鞘走
(
さやばし
)
りました。
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
スワ! と言わないまでも、いつ何時でも
鞘走
(
さやばし
)
るような体勢で、それでもって、はなはだ落着いて、静かに地上を漂うが如く忍んで行く。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「おのれ!」というと、助広を
鞘走
(
さやばし
)
らせて、地へ腰をつくと同時に、手ははね上がった駕のすだれを、パラリと
虚空
(
こくう
)
へ向けて斬っていた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
としかつめらしく、軽く頭を下げると同時に、スラリ
鞘走
(
さやばし
)
らせた一刀は、
釣瓶落
(
つるべおと
)
しの名ある二尺八寸、備前
長船
(
おさふね
)
の
大業物
(
おおわざもの
)
。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
下につないであつた
山筏
(
やまいかだ
)
の上へ落ちると、
佩
(
さ
)
してゐた
道中差
(
だうちゆうざし
)
がスルリと
鞘走
(
さやばし
)
つて、それが
筏
(
いかだ
)
を
繋
(
もや
)
つた
綱
(
つな
)
にふれるとプツリと切れて
筏
(
いかだ
)
がこはれるとガラ/\/\と流れ出しました。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いや、ちょっとお待ちを——ふうむ、少々
相
(
すがた
)
が荒びておりますな。めったに
鞘走
(
さやばし
)
りいたしませぬように、ちと御用心を。
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「本物の山崎は棒をよく使ったが、拙者はあり合せの槍。おのおの騒ぐな、騒いで刀が
鞘走
(
さやばし
)
るようなことがあると、拙者の眼は
盲
(
めし
)
いたれど、この槍の先には眼がある」
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
同時に又若侍はいつかどこかへ見えなくなっていた。父は泥まみれになったまま、僕の家へ帰って来た。何でも父の刀は
鞘走
(
さやばし
)
った拍子にさかさまに溝の中に立ったということである。
本所両国
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「眉間をみいッ。眉間の三日月をみいッ。天下御免の通行手形じゃ。祖師日蓮のおん名のために
鞘走
(
さやばし
)
らぬまでのこと、それを承知の上にて挑みかからば、これなる眉間傷より血が噴こうぞ」
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
同時に又若侍はいつかどこかへ見えなくなつてゐた。父は泥まみれになつたまま、僕の
家
(
うち
)
へ帰つて来た。何でも父の刀は
鞘走
(
さやばし
)
つた
拍子
(
ひやうし
)
にさかさまに溝の中に立つたと云ふことである。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いつそれが
鞘走
(
さやばし
)
るか知れないような心持がすると話したことがあります。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と先方が叫んで、
鞘走
(
さやばし
)
る刀をかいこみ、かいこみ、はせつけて来ました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
土方のような壮快な意気組みがあってでもない……大津を立って
比叡颪
(
ひえいおろし
)
が軽く
面
(
かお
)
を撫でる時、竜之助は、旅の
憂
(
う
)
さをすっかり忘れて小気味よく、そして腰なる武蔵太郎がおのずから
鞘走
(
さやばし
)
る心地がして
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鞘
漢検準1級
部首:⾰
16画
走
常用漢字
小2
部首:⾛
7画
“鞘”で始まる語句
鞘
鞘当
鞘當
鞘取
鞘師
鞘當筋
鞘橋
鞘形
鞘巻
鞘当筋