雨月物語うげつものがたり)” の例文
書見台の上には『雨月物語うげつものがたり』。乱れ籠には、小間物の入った胴乱どうらんから鼻紙にいたるまで、なにからなにまで揃っている。
顎十郎捕物帳:16 菊香水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
明和めいわ戊子ぼし晩春、雨れ月朦朧もうろうの夜、窓下さうかに編成し、以て梓氏ししあたふ。題して雨月物語うげつものがたりふと云ふ。剪枝畸人せんしきじん書す。
谷崎君の他の小説についてそう思ったことはなかったが、この小説の筆致は、私をして雨月物語うげつものがたりを連想させた。
武州公秘話:02 跋 (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
谷崎君の他の小説についてそう思ったことはなかったが、この小説の筆致は、私をして雨月物語うげつものがたりを連想させた。
この『蛇性の婬』の話は、上田秋成うえだあきなりの『雨月物語うげつものがたり』の中でも最も傑出したものとせられているが、しかし、これは秋成の創作でなしに支那しなの伝説の翻案である。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
白峯紀行の西行法師のほかに、時代は江戸に下るが、「雨月物語うげつものがたり」の筆者の上田秋成うえだあきなりも、こんぴら詣りか、四国めぐりの旅すがら、この白峯へ登ったことがあるように思われる。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上田秋成うえだあきなりの「雨月物語うげつものがたり」のうちに「蛇性じゃせいいん」の怪談のあることはたれも知つてゐるが、これは曲亭馬琴きょくていばきんが水戸にいた人から聞いた話であるといふことで、そのおもむきがやゝ類似してゐる。
梟娘の話 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
ほとん暗誦あんせうした雨月物語うげつものがたり青頭巾あをづきん全章ぜんしやうを、ゆきにむせつゝたからかに朗讀らうどくした。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
雨月物語うげつものがたり」は、安永五年(一七七六)に出版された、五巻五冊、全九話を収めた、いわば短篇小説集で、著者は上田秋成うえだあきなりであり、これを近世小説のジャンルでいえば読本よみほんとよばれるものであるが
雨月物語:04 解説 (新字新仮名) / 鵜月洋(著)
これを雨月物語うげつものがたり式につづれば、範頼の亡霊がここへ現われて、「なんじ、見よ。源氏げんじの運も久しからじ。」などと、恐ろしいのろいの声を放つところであろう。思いなしか、晴れた朝がまた陰って来た。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
雨月物語うげつものがたり」は、安永五年(一七七六)に出版された、五巻五冊、全九話を収めた、いわば短篇小説集で、著者は上田秋成うえだあきなりであり、これを近世小説のジャンルでいえば読本よみほんとよばれるものであるが