雅人がじん)” の例文
高低のある広い地は一面に雑草を以ておおわれていて、春は摘草つみくさ児女じじょの自由に遊ぶに適し、秋は雅人がじんほしいままに散歩するにまかす。
文墨ぶんぼく雅人がじんも多しときゝしが、旅中りよちゆうとしきやうするにあひ皈家きかいそぎしゆゑ剌を入れざりしは今に遺憾ゐかんとす。
けれど、その水にも、詩をむ人を乗せた一艘の舟もないし、杖をひいて逍遥する雅人がじんの影もなかった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文墨ぶんぼく雅人がじんも多しときゝしが、旅中りよちゆうとしきやうするにあひ皈家きかいそぎしゆゑ剌を入れざりしは今に遺憾ゐかんとす。
そこは東叡山とうえいざんの北裏にあたる根岸村——土地に住む雅人がじんが呼んであけぼのの里となす閑静な所でした。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雅人がじん住居すまいでもありそうな茅葺かやぶきの家、かけひの水がにわさきにせせらぐ。ここは甲山こうざんおくなので、晩春ばんしゅんの花盛夏せいかの花、いちじにあたりをいろどって、きこまれた竹のえんちりもとめずにしずかである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)