陰謀いんぼう)” の例文
味方を先づ殺してかゝる恐ろしい陰謀いんぼうで惡賢こい忠五郎も其處までは氣が付かず、危ふく一命を棒に振るところだつたのです。
われわれは恐ろしい陰謀いんぼうをたくらみながらも、軽い諧謔かいぎゃくをたのしみるほどに余裕があった。わしは忘れることができない。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
先生、X号の陰謀いんぼうをごぞんじですか。地球上の人類を絶滅ぜつめつさせて、自分らがそのかわりにとってかわろうという………
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
従兄弟の為めに多少尽すことが出来たと思って満足に感じたが、こんな陰謀いんぼう加担かたんしていると兎角後ろ暗い。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「ウフフフ……とっさのあいだに、すっかりおれたちの陰謀いんぼうを悟ってしまったね。偉いよ。だが、よく生きていられたねえ。芝浦でひどい目にあわなかったかい」
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかし邪悪じゃあくな呂宋兵衛は、たちまちそれにつけあがって陰謀いんぼうをたくらみ、さくをもって、小角を殺し、配下はいか野武士のぶしを手なずけ、人穴の殿堂でんどうを完全に乗っ取ってしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
王兄シャマシュ・シュム・ウキンの謀叛むほんがバビロンの落城でようやくしずまったばかりのこととて、何かまた、不逞ふていの徒の陰謀いんぼうではないかと探ってみたが、それらしい様子もない。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
堀は訴状を披見ひけんした。胸ををどらせながら最初から読んで行くと、はたしてきのふ跡部あとべに聞いた、あの事である。陰謀いんぼう首領しゆりやう、その与党よたうなどの事は、前に聞いた所と格別の相違は無い。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あくまで排斥しようとした源三郎に、つにてない愛を感じたのですもの。みずから仕組しくんだ陰謀いんぼうと、この、おのが恋心とのあいだにはさまれた彼女の胸は、どんなに苦しかったかしれない。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
不成功におわらせようという陰謀いんぼうがあるにちがいありません。他の艇にも、こんなものがはいっているかもしれません。至急、僚艇へ警告してください
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
「玉村君のおとうさんは、宝石王でしょう。宝石を手に入れるための陰謀いんぼうかもしれません。玉村君のおとうさんに、このことを知らせてあげなくてもいいでしょうか。」
超人ニコラ (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
本草家を三人誘拐して二人まで殺したのは、容易ならぬ陰謀いんぼうとは思ひましたが、それが兵粮丸の祕密を解くからくりで、南部大膳大夫に疑ひが向いて行くとは思ひもよらなかつたのです。
もしやこの家には、何かおそろしい陰謀いんぼうがたくらまれているのではないでしょうか。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
もつとも、この陰謀いんぼうを企らんだのは、右京が京之助を自分の本當の子でないと覺り、お江野をうとんじ始めたから起つたことで、お江野の妹のお鳥は、もと見世物小屋などを渡り歩き、力業にすぐれた上
陰謀いんぼう
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)