防遏ばうあつ)” の例文
三十年に於ける除害工事の命令に依つて之を防遏ばうあつし得るとは、思ふに今日政府の意見ならん。而して彼等被害地民は之を然らずと主張するなり。
鉱毒飛沫 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
勘次かんじ監督かんとくつぼみ成長せいちやうとゞめるひやゝかな空氣くうきで、さうしてこれねらふものを防遏ばうあつする堅固けんご牆壁しやうへきである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此人の手に偶然の出来事がいつ己の性命を委ねてしまふか知れない。そればかりでは無い。この目に見えぬ脅迫を避けようとか、この作用を防遏ばうあつしようとか云ふ手段は、毫も己の手中には無い。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
数年政府の之を緩慢に付し去る理由如何いかん。既往の損害に対する救治の方法如何。将来の損害に於ける防遏ばうあつの手段如何
政治の破産者・田中正造 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
各自かくじこゝろにおつぎをほどふかおもはうともそれは各自かくじいうする權能けんのうぞくしてる。しかしながらおつぎへくはへようとするその極端きよくたん防遏ばうあつしようとすることも勘次かんじいうする權能けんのうである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)