間取まどり)” の例文
間取まどりの関係から云って、清子のへやは津田のうしろ、二人づれの座敷は津田の前に当った。両方の中間に自分を見出みいだした彼はようやく首肯うなずいた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
どの博物館も新式の建築術を用ひて間取まどりや明り取りの設備には敬服させられるが、陳列品に自国の美術としてはほとんど何物をもつて居ないのは気の毒な程である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
私の実見じっけんは、ただのこれが一度だが、実際にいやだった、それはかつて、麹町三番町こうじまちさんばんちょうに住んでいた時なので、其家そこ間取まどりというのは、すこぶれな、一寸ちょいと字に書いてみようなら
女の膝 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
所はしば烏森からすもりで俗に「はやしの屋敷」と呼ばれていた屋敷長屋のはずれのうちだったが、家内うち間取まどりといい、庭のおもむきといい、一寸ちょっと気取った家で、すべ上方かみがた風な少し陰気ではあったが中々なかなかった建方たてかたである
暗夜の白髪 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
「おめえは本町のお店の間取まどりをよく知ってるな」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
御殿の厳めしい、内の間取まどりに這入って行くと
玄関から真直まっすぐに行けば、茶の間、お嬢さんの部屋と二つ続いていて、それを左へ折れると、Kの室、私の室、という間取まどりなのですから、どこで誰の声がしたくらいは
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
中には大きな御殿の間取まどりがしてあって
うちの都合は、どうだい。間取まどりの具合はささうぢやないか」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この砦や間取まどり一面に、羽を