閉切たてき)” の例文
ガラスの障子が閉切たてきってあるのでございますが、何時も内側からかきがねをかけていられたのでございます。
見ると板戸は閉切たてきってあるものの内側うちから心張しんばりがかかっている様子がまんざら無人とは思われない。
馬「へい、からかみ閉切たてきっていきれるからう枕元に立って立番をしているので、これから縁側へ整然ちゃんとお湯を持ってくんだ、何うです今夜はやくずつと極めましょう」
大方おおかた駒下駄のぬしも奥の座敷に取繕とりつくろってチンと澄しているに違ないと思うと、そのチンと澄している処が一目なりと見たくなったが、生憎あいにく障子が閉切たてきってあるので、外からは見えない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
という声を聞き附け、奥より角右衞門が出てまいり、物をも云わず御新造の手を取って奥へ引入れ、縁側のへだての障子をパッタリと閉切たてきってしまいましたから、多助は呆然として
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ト云ッてお鍋が襖を閉切たてきるを待兼ねていた文三が、また改めて叔母に向って
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
二居ヶ峰の中の峰より二里半、三俣みつまたという処まで来ますると、宿しゅくはずれに少しばかり家はござりますが、いずれもかどの戸を閉切たてきって焚火たきびをして居ります様子、文治はその家の前に立ちまして
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お蘭が送り出そうと思って居るうち、ぱったり襖を閉切たてきって、出たかと思って考えるに表の門の開いた様子もないし、夫のそとへ出たのも怪しく、夜深よぶかに私の顔を見て直ぐに出てお仕舞い遊ばしたのは
とぴしゃりとからかみ閉切たてきります。