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長途
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ちやうと
藏を
持ぬしに
返し
長途の
重荷を
人にゆづりて、
我れは
此東京を十
年も二十
年も
今すこしも
離れがたき
思ひ、そは
何故と
問ふ
人のあらば
切りぬけ
立派に
言ひわけの
口上もあらんなれど
いづれも
心も
心ならねば、
長途の
勞を
休むる
閑なく、
急ぎ
樣子を
伺ひ
奉るに
何事もおほせ
出だされず、ゆる/\
休息いたせとあるに、
皆々不審に
堪へざりけり。
中二日置きて
一同を
召出ださる。