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鐵扇
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てつせん
見れば扇子一本
落てあり藤兵衞手に取あげ
能々見るに
鐵扇にて親骨に
杉田三五郎と
彫付有りし故掃部大いに
怒り然らば是は
幸手の三五郎が
所業に
違無し今西の方へ
駈出して
行人影を
待伏して
切害し死骸の
傍へ
貸て
遣た扇子を落して
置其
鐵扇に杉田三五郎と名前が
彫刻付て有しゆゑ夫に
嫌疑の
懸るを三五郎も承知して
暫時の
中金兵衞を殺したに
成て居たが是は
鐵扇の
代だと百兩の金を
見に
釣し上られた
儘死したる體ゆゑ重四郎も
流石氣の毒に思ひハヽア僧主は僧主
丈正直な者然し
打殺さるゝ迄云ぬと言ふは武士にも
優た丈夫な
精神天晴々々感心した然し彼の掃部めは三五郎が殺したと心得しは
鐵扇を