鐵扇てつせん)” の例文
新字:鉄扇
見れば扇子一本おちてあり藤兵衞手に取あげ能々よく/\見るに鐵扇てつせんにて親骨に杉田すぎた三五郎と彫付ほりつけ有りし故掃部大いにいかり然らば是は幸手さつての三五郎が所業しわざちがひし今西の方へ駈出かけだしてゆく人影ひとかげ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
待伏まちぶせして切害せつがいし死骸のそばかしやつた扇子を落しておき鐵扇てつせんに杉田三五郎と名前が彫刻付ほりつけて有しゆゑ夫に嫌疑うたがひかゝるを三五郎も承知して暫時しばらくうち金兵衞を殺したになつて居たが是は鐵扇てつせんだいだと百兩の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見につるし上られたまゝしたる體ゆゑ重四郎も流石さすが氣の毒に思ひハヽア僧主は僧主だけ正直な者然し打殺うちころさるゝ迄云ぬと言ふは武士にもました丈夫な精神たましひ天晴々々あつぱれ/\感心した然し彼の掃部めは三五郎が殺したと心得しは鐵扇てつせん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)