あらがね)” の例文
旧字:
二人ともばつが悪くなって、差し向いで胡坐あぐらをかいたまま、黙っていた。その時次の作事場さくじばあらがねたたく音がかあんかあん鳴った。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
赤裸まはだか男子おのこむれゐてあらがねのまろがり砕くつちうちふり
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
こもらひぬ、あらがねいはほとのひまうづもれ。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
なほあらがねのままなりき。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
例えばあらがねのように種々な異分子を含んだ自然物でなくって純金と云ったように精錬した忠臣なり孝子なりを意味しております。
文芸と道徳 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あらがねたたいているのが聞えたんで、それじゃやっぱり安心なのかと、不審のあまりこの質問を起して見たんである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
独乙ドイツのフェヒナーは十九世紀の中頃すでに地球その物に意識の存すべき所以ゆえんを説いた。石と土とあらがねに霊があると云うならば、有るとするをさまたげる自分ではない。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「穴だよ。——あらがねほうり込んで、まとめて下へげる穴だ。鉱といっしょに抛り込まれて見ねえ……」
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)