酔払よっぱら)” の例文
旧字:醉拂
あれは神田氏だけの問題なので、気が変になったとか或いは酔払よっぱらっていたとか(ここで私はクスリと忍び笑いをしなければならなかった)
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ナニおじさん、大丈夫だよ、この先生はいつでも酔払よっぱらってるんだからほうっとけば一人で帰るよ」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かみさんとお照はかきもちと甘栗をぼりぼりやりながら酌をする。兼太郎はいつになく酔払よっぱらって
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
さて黒川孝藏は酔払よっぱらっては居りますれども、生酔なまえい本性ほんしょうたがわずにて、の若侍の剣幕けんまくに恐れをなし、よろめきながら二十歩ばかり逃げ出すを、侍はおのれ卑怯ひきょうなり、口程でもない奴
そいつの亭主ていしゅというのが大へんなやつでしてね、こっちからわざわざ何か持って行ってやったりしますと、いつも酔払よっぱらっていちゃあ、『くれるというものならもらっといたらいいじゃねえか』
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「ドン助というのは、僕の親友ですよ。コックなんです。すっかり酔払よっぱらって、ここに積んであった空箱のなかに寝ていたはずなんですがねえ」
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ナニサそんな訳じゃアない、あの二人は叔父おじおいの間柄で、あの真赤まっか酔払よっぱらって居るのは叔父さんで、若い綺麗な人が甥だそうだ、甥が叔父に小遣銭こづかいせんを呉れないと云う処からの喧嘩だ」
帆村が、私の顔の前で、酔払よっぱらいらしくグニャリとした手首をふった。私にはその意味がすぐわかったのだった。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「いや、酔払よっぱらいが、この堀の中に落っこって、もうすこしで土左衛門どざえもんになるところだったよ。だいぶ傷をしているらしいから、その辺の病院まではこんでくれないか」
東京要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いや、酔払よっぱらったんです。これもこの酒の芳醇ほうじゅんなるゆえです。そこで先生、酒の実験はこのくらいにして、お約束ですから、かねがねお願いしてありました毒瓦斯研究の指導を
向うから酔払よっぱらいの声が聞える。顔も姿もまだ見えないが……。
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)