運慶うんけい)” の例文
その芸術の優秀なことに於て前後を睥睨へいげいしているのと、案内人が遠慮会釈もなく、「これが有名な東大寺大仏殿の仁王、右が運慶うんけい、左が湛慶たんけい——」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こいつは驚くでしょう。誰がなんと言ったって、運慶うんけいとか湛慶たんけいとかの作といわれるあらたかな不動明王様が、金貸を
銭形平次捕物控:130 仏敵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
運慶うんけい護国寺ごこくじの山門で仁王におうを刻んでいると云う評判だから、散歩ながら行って見ると、自分より先にもう大勢集まって、しきりに下馬評げばひょうをやっていた。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三尊さんぞん四天王十二童子十六羅漢らかんさては五百羅漢、までを胸中におさめてなた小刀こがたなに彫り浮かべる腕前に、運慶うんけいらぬひと讃歎さんだんすれども鳥仏師とりぶっし知る身の心はずかしく
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
運慶うんけいが木材の中にある仁王におうを掘り出したと云われるならば、ブローリーやシュレディンガーは世界中の物理学者の頭の中から波動力学を掘り出したということも出来るであろう。
スパーク (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
聖徳太子が自ら刻んだという如意輪にょいりん観音の像だけは、寺院の近くに、今にその堂宇どううを残しているのであるが、最近、それが聖徳太子の作ではなく運慶うんけいの作であることが鑑定され
荒雄川のほとり (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
さて、毛越寺では、運慶うんけいの作ととなうる仁王尊におうそんをはじめ、数ある国宝を巡覧せしめる。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こいつは驚くでせう。誰が何んと言つたつて、運慶うんけいとか湛慶たんけいとかの作といはれるあらたかな不動明王樣が、金貸を
銭形平次捕物控:130 仏敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
このゆえどうと名のつくものは必ず卑しい。運慶うんけい仁王におうも、北斎ほくさい漫画まんがも全くこの動の一字で失敗している。動か静か。これがわれら画工がこうの運命を支配する大問題である。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)