逆捻さかね)” の例文
確にわざをしたに違いませんが、もう電車を下りますまでには同類のたもとへすっこかしにして、証拠が無いから逆捻さかねじを遣るでございます
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こっちに確かな証拠を握っていない以上は、逆捻さかねじに言いがかりを付けられて、飛んだ目に逢うことがある。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
浅井は商業に失敗して、深川の方に逼塞ひっそくしているその伯父と一度会見すると、こっちから逆捻さかねじを喰わして、少しの金で、事件の片がぴたりついてしまった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
出し妾の所はしつけきびしいので通っているそのくらいなら何で稽古に寄越よこしなさったのかと逆捻さかねじ的の挨拶あいさつ
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そこです。私はつい『それはガラマサどんです』と口走ってしまいました。『こら、ガラマサとは何だ?』と笑いながらでしたが、早速逆捻さかねじを食わせました」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
もし、縛ったり、家宅捜査をしたりして、書類が出て来なかったら、シムソンは何と云うでしょう。それこそ、どんな逆捻さかねじを食っても仕方がないではありませんか。
計略二重戦:少年密偵 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
津幡秀子に逆捻さかねぢを食つて、増野は、「いけねえ」と頭を掻く真似をした。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
近藤勇は、これがグッとしゃくにさわった。一応の届出に対して、直ちに相当の会釈あるべきものと信じていた小役人が、ほかならぬ新撰組の隊長に向って逆捻さかねじとは意外千万、近藤勇は、傲然として
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼はそれを証拠にして、現在、父子おやこすらもその血が一つに合わないのであるから、滴血などをもって裁判をくだされては甚だ迷惑であると、逆捻さかねじに上訴した。
とお母さんは逆捻さかねじを食わせて
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
もしそうならば、重々ふてえ奴らだ。しかしお城坊主の伜なんぞには随分悪い奴がある。下手へたをやると逆捻さかねじを喰うから、気をつけて取りかからなけりゃあならねえ
半七捕物帳:50 正雪の絵馬 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
逆捻さかねじを食って少しあわてた半七は、わざと仰山ぎょうさんらしく驚いてみせた。
半七捕物帳:20 向島の寮 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そこで、劉は張と連れ立ってその催促にゆくと、彼はそれを素直に支払わないばかりか、種々の難癖なんくせをつけて逆捻さかねじに劉を罵りました。劉は黙ってそのまま帰って来ましたが、あとで張に話しました。