迦具土かぐつち)” の例文
私はふいと、中學生の時分に、「迦具土かぐつち」と云ふ服部躬治みはるの歌集の中で讀んだことのある一首の歌を想ひ起して、それを口のうちで繰り返した。———
二月堂の夕 (旧字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
殺さえたまひし迦具土かぐつちの神の頭に成りませる神の名は、正鹿山津見まさかやまつみの神。次に胸に成りませる神の名は、淤縢山津見おとやまつみの神。次に腹に成りませる神の名は、奧山津見おくやまつみの神。
ほとん形容けいよう出來できないおとひゞいて、ほのほすぢうねらした可恐おそろし黒雲くろくもが、さらけむりなかなみがしらのごとく、烈風れつぷう駈𢌞かけまはる!……あゝ迦具土かぐつちかみ鐵車てつしやつて大都會だいとくわい燒亡やきほろぼ車輪しやりんとゞろくかとうたがはれた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれその神避りたまひし伊耶那美の神は、出雲の國と伯伎ははきの國との堺なる比婆ひばの山をさめまつりき。ここに伊耶那岐の命、御佩みはかし十拳とつかの劒を拔きて、その子迦具土かぐつちの神のくびを斬りたまひき。
またの名は炫毘古かがびこの神といひ、またの名は迦具土かぐつちの神といふ。この子を生みたまひしによりて、御陰みほとやかえてこやせり。たぐり一〇りませる神の名は金山毘古かなやまびこの神。次に金山毘賣かなやまびめの神。