辻君つじぎみ)” の例文
突き当って筋違すじかい見附、右へ行くと、柳原から両国だ。柳原は辻斬りの名所、柳の下にむしろを抱えて仲間ちゅうげんや折助相手の、辻君つじぎみが遊泳した。
江戸の昔を偲ぶ (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
冬の闇夜やみよに悪病を負う辻君つじぎみが人を呼ぶ声のいたましさは、直ちにこれ、罪障深き人類のみがたき真正まことの嘆きではあるまいか。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
エセル・ライオンスといって、その服装態度からブラウンが一眼で鑑別したとおり、彼女はイースト・エンドを縄張りにする辻君つじぎみの一人だった。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
上は芳町、柳橋の芸者から松の位の太夫職、下は宿場の飯盛めしもりから湯屋女、辻君つじぎみ、夜鷹に到るまで、あらゆる階級の要求に応ずる設備が整っていた。
素朴なる村の住民は、これを目して上﨟じょうろうと呼んでいた。上﨟はただ貴女の別名で、もと尊敬すべき婦人を意味したことは、辻君つじぎみ立君たちぎみのキミも同じである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
此処でちょいとばかり通を云いますが、上海に於ける辻君つじぎみには、大体二種類あるのです。
それともいささかの悪心をもって路上に「鶴」——辻君つじぎみのこと。たぶん立って待ってる姿が似てるからだろう——でもからかうか。または例の「女の見世物」でもあさって歩くか。同じくBON!
それは糸盾いとだてを抱えた辻君つじぎみ姿のわかい女であった。
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いわば辻君つじぎみの多く出没する場所で、女たちは、芝居や寄席よせのはじまる八時半ごろから、この付近の大通りや横町を遊弋ゆうよくして、街上に男を物色ぶっしょくする。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
柳原の土手は、辻斬の名所で、そしてまた、辻君つじぎみ(パンパン)のホームグラウンドでもある。明治以後は、古着屋の本場になって、私は一高へ入学すると、ここで、吊るしんぼの制服を買った。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
折もしありなば語らひやしけん辻君つじぎみ
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
また一人キャザリン・エドウスという辻君つじぎみを殺害し、やはり陰部から下腹を斬り裂いて、子宮を取っている。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
折もしあらば語らひやしけん辻君つじぎみ