躍起やつき)” の例文
古道具屋の伊三松は躍起やつきとなつて抗議するのです。三十五六の不景氣な男で、これが美しいお吉の兄とはどうしても思へません。
でも此様こんはずでは無かツたがと、躍起やつきとなツて、とこまでツてる、我慢がまんで行ツて見る。仍且やツぱり駄目だめだ。てん調子てうしが出て來ない。揚句あげく草臥くたびれて了ツて、悲観ひくわん嘆息ためいきだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『ひ、ひ、卑怯者ひけふもの!。』とわたくし躍起やつきになつた、此處こゝには春枝夫人はるえふじんごと殊勝けなげなる女性によせうもあるに、かれ船長せんちやう醜態しうたい何事なにごとぞとおもふと、もうだまつてはられぬ、もとより無益むえきわざではあるが
耳へ口を寄せて、躍起やつきになる彼女の声は、だんだんかすれて行くばかりだつた。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
後家のお角は躍起やつきとなつて、いくら金貸が商賣でも、二千兩といふ大金は今日中にはまとまらない、今日中に二千兩の金を大河内樣へ屆けなきや
こまかに手先をふるはせながら躍起やつきとなツて叫ぶ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
良助は躍起やつきとなつてはね返すのです。此處まで頭を働かせるのは、よく/\追ひ詰められて必死の智慧を絞つたのでせう。
孝吉の生意氣なのが癪に障つた樣子で、喜三郎大人氣なくも躍起やつきとなつてしまつたのです。
ガラツ八は躍起やつきとなつて抗辯しました。これがまる二日考へ拔いた智惠だつたのです。
躍起やつきとなつて抗議したのはお夢自身でした。平次はそれに取り合はずに
勝藏は躍起やつきになつて養母の言葉を嘘にし度い樣子す。
錢形平次は日頃にもなく躍起やつきとなるのです。
番頭の源介は躍起やつきとなつて手を振るのです。
三十間堀の猪之助は躍起やつきとなりました。
銭形平次捕物控:260 女臼 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
八五郎は躍起やつきとなるのです。
銭形平次捕物控:282 密室 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)