とお)” の例文
青年時代の何ものをも烈々と焼くか突きとおさずにはおかない情熱と、その時代を久しくつつんでいた真っ黒な懐疑と、当然
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やや、脱毛ぬけげからしたた生血なまちは」よろよろと起きあがって、「一念とおさでおくべきか」
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ひるまえの稼ぎを数えて、岩公は、わらを穴にとおしていた。それから飯櫃のめしを食べ、首をのばして川の水をすすった。
下頭橋由来 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「成政の心中としては、一にただ旧主の御恩と、義を守って、あくまでせつとおしたいとしたものもござりまして」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巡礼だか六部ろくぶだかになりやがって、仮病けびょうをつかってこのやしきの前に倒れたなあうぬの手段だ。そんなことはこの百助が、三年も前からにらとおしているんだぞ。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが坂東武者の粗鉄あらがねのかぶとや鎧に射当って、突きとおるか、ね返されるかは、別問題であった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
声に振向いたとたん、彼の胸いたは、武蔵の突き出した槍に縫いとおされていた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やあ、では坑道あなみちとおったな。ようし、道はひらけた」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)