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財嚢
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ざいのう
ふりがな文庫
“
財嚢
(
ざいのう
)” の例文
自分の死期の迫ってるのを十分知りながら余り豊かでない
財嚢
(
ざいのう
)
から高価の辞典を買うを少しも惜まなかった紅葉の最後の逸事は
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
拙者は
足利
(
あしかが
)
の田山白雲という貧乏絵師だが、今日はこれからなけなしの
財嚢
(
ざいのう
)
を傾けて、君のためにおごりたいのだ、ぜひつき合ってくれ給え
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一群の老若男女ありて
奔
(
はし
)
り逃れんとす。左に嬰兒を抱き、右に
裹
(
つゝ
)
みを
挾
(
わきばさ
)
める村婦の、且泣き且走るあり。われは
財嚢
(
ざいのう
)
を傾けてこれに贈りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
いわゆる文壇の不振とは、文壇に提供せられたる作物の不振ではない。作物を買ってやる
財嚢
(
ざいのう
)
の不振である。文士からいえば
米櫃
(
こめびつ
)
の不振である。
文芸委員は何をするか
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
全く教師
等
(
ら
)
の所得にすることが出来たその上に、
折々
(
おりおり
)
私の
財嚢
(
ざいのう
)
から金を出して塾用を弁ずることも出来ました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
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私は乏しい
財嚢
(
ざいのう
)
を傾け尽して、当時ビクターのカタログに六、七十枚あったクライスラーのレコードを、全部かき集めようとしたのになんの不思議があろう。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
昨年の十一月から節約に節約を加えて、借金の返却を心がけたので、
財嚢
(
ざいのう
)
はつねにつねに冷やかであった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
真個
(
しんこ
)
の富国強兵とは、単に国民の
財嚢
(
ざいのう
)
重きの
謂
(
いい
)
ではない。また海陸の軍備の整えるを申すのでもない。
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
しかしフランス中流のカトリック教徒の
田舎
(
いなか
)
紳士の間では、いつも
財嚢
(
ざいのう
)
と財嚢との捜し合いである。しかもなんのためであるか?
憐
(
あわ
)
れむべき彼らはくだらない欲求をしかもってはいない。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
四日——
万朝報
(
まんちょうほう
)
の米調べ発表。玄米一升七三二五〇粒。△今年は倹約せんと思ふ。
財嚢
(
ざいのう
)
のつねに
虚
(
きょ
)
なるは心を温めしむる現象にあらず。しょせん生活に必要なるだけの金は必要なり。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
一家の会計を
司
(
つかさ
)
どっていない彼の
財嚢
(
ざいのう
)
は無論軽かった。空のまま
硯箱
(
すずりばこ
)
の
傍
(
そば
)
に
幾日
(
いくか
)
も横たわっている事さえ珍らしくはなかった。彼はその中から手に触れるだけの紙幣を
攫
(
つか
)
み出して島田の前に置いた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
財
常用漢字
小5
部首:⾙
10画
嚢
漢検準1級
部首:⼝
18画
“財”で始まる語句
財布
財産
財
財宝
財寶
財政
財貨
財物
財産家
財界