よん)” の例文
旧字:
物事がアベコベになって、世間では漢書をよんでから英書を学ぶとうのを、此方こちらには英書を学んでから漢書を学ぶと云う者もあった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
受取りて伯父の前へ持ち来り「伯父さん、満さんの手紙よ。何といって来たろう。よんで御覧な」と礼儀も知らぬ山家育やまがそだち。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
北国のある町を歩いていると立琴たてごとのようなものを鳴らして乞食が通るのを見た。その男の容貌がいかにも「日まわり」の一章によんだ乞食と似ている。
「福造の手紙をよんで聞かすのも、なんやら工合がわるいが、……ほんなら中に書いてあることをざつと言うて見よう。」
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)
「そんな気楽じゃ有りません。今日母の所から郵便が来たからよんで見れば、私のこういう身に成ッたを心配して、この頃じゃ茶断して願掛けしているそうだシ……」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
私がお話しするよりも、これをよんだ方が解りましょう。
ソコで尋常一様の洋学者や通詞つうじなどうような者が漢学者の事を悪く云うのは普通の話で、余り毒にもならぬ。所が私は随分ずいぶん漢書をよんで居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
こんな馬鹿気た話はない。友は唯私より少し早くファウストという古本ふるほんよんだ丈の事だ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
喜怒色に顕わさず或時あるとき私が何か漢書を読む中に、喜怨いろあらわさずと云う一句をよんで、その時にハット思うておおいに自分で安心決定あんしんけつじょうしたことがある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)