説破せっぱ)” の例文
もし今なお、この少年を打首にせよと、信長が云い張った場合は、死をして、その愚をいさめ、その非を説破せっぱするの覚悟でこれへ来た彼であったのである。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つまり説得するものが説破せっぱされたのである。この人はお鯉の利益になるように説くようになった。そこで、喜楽の女将が、我こそと手ぐすねをひいて出て来たのだ。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
で、やっと、説破せっぱして、自動車には乗らないと云う条件で、許しが出たのです。だから、奥さんにも、自動車には乗らないと云ってあれほど申上げて置いたじゃありませんか。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
愚哉おろか々々、これ黙らっせえ、たいらの捨吉、なんじ今頃この処にきたって、憎まれ口をきくようじゃあ、いかさまいろがえものと見える。」と説破せっぱ一番して、五助はぐッとまた横啣よこぐわえ
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三人を目前に説破せっぱした忠一は、おのずから得意の肩をそびやかすようになった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「わしの伜のいる所じゃ! 南町奉行所の仮牢じゃ。わしが参って、奉行の主計頭かずえのかみ、与力の東儀三郎兵衛、それに羅門塔十郎の三名をならべて説破せっぱいたすから、其方そのほうも立ち合え」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はるかに新興織田勢力の赫々かっかくたるものを眺め、中国の毛利にも飽き足らないものを覚えていたところへ、昨年、黒田官兵衛の説破せっぱに会って、断然、織田へかんを通じたものであった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、さとしたり、説破せっぱしたり、論争に努めている。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)