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言捨
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いひすて
女房に
渡し
少だが
單物でも
買れよと
無理に
懷ろへ入れ此事は決して
沙汰なしに
頼むなりと
言捨て立歸りしが途中には穀平の
丁稚音吉に行合けるに重四郎聲を
引モシ若旦那
然行ては「イヤ
吾儕は花見にはモウ
行ぬ是から家へ
歸るなり」と
言捨足を早めるに和吉は
本意なき
面地にて夫では花見は
止になつたか
然して見ば辨當を
取て
引擔ぎ
斗筋打せ
投付るに今一人も
張倒し
蹴返し
乍に
發打白眼汝等二人は晝日中追落しする不屆者
直樣捕へ宿場へ連れ立ち御法通りにして呉ん首は入らぬか
蠢蟲めと罵りければ惡徒共此勢に恐れけん
尻込して只
眞平御免と
詫るにぞ夫なら今日は
赦して呉んと
言捨て是は