覚際さめぎわ)” の例文
どうです、心得ているからいようなものの、それでいながら変にすごい。気の弱い方が、転寝うたたねからふっと覚際さめぎわに、ひょっと一目見たら、吃驚びっくりしますぜ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
又は露多き苔道こけみちをあゆむに山蛭やまびるひいやりとえりおつるなど怪しき夢ばかり見て覚際さめぎわ胸あしく、日の光さえ此頃このごろは薄うなったかと疑うまで天地を我につれなき者のよう恨む珠運しゅうん、旅路にかりそめの長居ながい
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
まだ顔を見せないで、打向った青行燈の抽斗ひきだしを抜くと、そこに小道具の支度があった……白粉刷毛おしろいばけの、夢の覚際さめぎわ合歓ねむの花、ほんのりとあるのを取って、なまめかしく化粧をし出す。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
覚際さめぎわか、蒼白あおじろい顔をして、つかつかと出て来たが、御飯に添えて小皿の小肴こざかなを、(このあたりの習慣である。)手に載せて箸をつけていた、雪代夫人をると、どしんと坐って
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
覚際さめぎわにフト刺戟された想像にとどまったのであるが、しかしそれは不幸にも事実であった。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夢の覚際さめぎわかと見えたのである。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)