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蚊遣香
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かやりこう
ふりがな文庫
“
蚊遣香
(
かやりこう
)” の例文
上清
(
じょうせい
)
が店の
蚊遣香
(
かやりこう
)
懐炉灰
(
かいろばい
)
に座をゆづり、石橋の田村やが粉挽く臼の音さびしく、
角海老
(
かどえび
)
が時計の響きもそぞろ哀れの
音
(
ね
)
を伝へるやうになれば
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
赤蜻蛉
(
あかとんぼう
)
田圃
(
たんぼ
)
に乱るれば横堀に
鶉
(
うづら
)
なく頃も近づきぬ、
朝夕
(
あさゆふ
)
の秋風身にしみ渡りて
上清
(
じやうせい
)
が店の
蚊遣香
(
かやりこう
)
懐炉灰
(
くわいろばい
)
に座をゆづり、石橋の田村やが
粉挽
(
こなひ
)
く
臼
(
うす
)
の音さびしく
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
頭を洗うし、久しぶりで、
些
(
ちと
)
心持
(
こころもち
)
も
爽
(
さわやか
)
になって、ふらりと出ると、
田舎
(
いなか
)
には
荒物屋
(
あらものや
)
が多いでございます、紙、
煙草
(
たばこ
)
、
蚊遣香
(
かやりこう
)
、勝手道具、何んでも屋と言った店で。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
香炉
(
こうろ
)
に
蚊遣香
(
かやりこう
)
が一本立ててある。二人の感情のように、ほそい線が、二人を縛る。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蚊遣香
(
かやりこう
)
も少し我に近く置け
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
▼ もっと見る
蚊遣香
(
かやりこう
)
もばったり消えて、畳の目も初夜過ぎの陰気に白く光るのさえ、——寂しいとも思われぬ。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いつもお雪が店口で
焚
(
た
)
く
蚊遣香
(
かやりこう
)
も、今夜は一度もともされなかったと見え、
家中
(
いえじゅう
)
にわめく蚊の群は顔を刺すのみならず、口の中へも飛込もうとするのに、土地馴れている筈の主人も
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
同
(
おなじ
)
町の軒並び二町ばかり
洲崎
(
すさき
)
の方へ寄った角に、浅草紙、
束藁
(
たわし
)
、
懐炉灰
(
かいろばい
)
、
蚊遣香
(
かやりこう
)
などの荒物、
烟草
(
たばこ
)
も封印なしの一銭五厘二銭玉、ぱいれっと、ひーろーぐらいな処を商う店がある
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
癩病
(
かったい
)
医者だと人はいうが、漢方医のある、その
隣家
(
となり
)
の荒物屋で駄菓子、油、
蚊遣香
(
かやりこう
)
までも商っている婆さんが来て、
瓦鉢
(
かわらばち
)
の欠けた中へ、杉の枯葉を
突込
(
つっこ
)
んで
燻
(
いぶ
)
しながら、庭先に
屈
(
かが
)
んでいるが
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蚊
常用漢字
中学
部首:⾍
10画
遣
常用漢字
中学
部首:⾡
13画
香
常用漢字
小4
部首:⾹
9画
“蚊遣”で始まる語句
蚊遣
蚊遣火
蚊遣煙
蚊遣線香