葉叢はむら)” の例文
野兎のうさぎ※麻いちびの茂みの中で、昼にねらわれた青鷹あおたかの夢を見た。そうして、ねると※麻の幹に突きあたりながら、零余子むかご葉叢はむらの中にんだ。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
と、行く手に竹藪があって、出たばかりの月に、葉叢はむらを、薄白く光らせ、微風そよかぜにそよいでいたが、その藪蔭から、男女の云い争う声が聞こえて来た。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この月を小竹ささ葉叢はむらに影さして飛びちらふ見れば雪はおもしろ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
と、葉叢はむらの中から沢の水を指さした。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
間もなく今まで積まれてあった鹿の小山の褐色の色が、麻の葉叢はむらの上からだんだんに減ってくると、それにひきかえて、珊瑚色さんごいろの鹿の小山が新しく晴れ渡った空の中に高まってきた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
この月を小竹ささ葉叢はむらに影さして飛びちらふ見れば雪はおもしろ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
遠くの麻の葉叢はむらの上を、野牛の群れが黒い背だけを見せて森の方へ動いていった。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
五百重いほへなす蘇鉄の葉叢はむら冷え冷えて日の暮れたらし物の迫るは
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
牟婁むろと言へば葉叢はむら高茎たかぐき百重ももへなす浜木綿の花はうべやこの花
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
春蘭のやき葉叢はむらの香のつつ点滴てんてきの音は鉢のにあり
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
春蘭のかをる葉叢はむらおよび入れかたちある花にひた触れむとす
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)