ねんごろ)” の例文
唯懐ただおもひき人に寄せて、形見こそあだならず書斎の壁に掛けたる半身像は、彼女かのをんなが十九の春の色をねんごろ手写しゆしやして、かつおくりしものなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
他の国にゆかしめば、必ずも後のわざはひとなるべしと、ねんごろに教へて、又商鞅をひそかにまねき、吾汝を一三四すすむれども王ゆるさざる色あれば、用ゐずばかへりて汝を害し給へと教ふ。
佐用氏にゆきて老母の介抱いたはりねんごろ一二一あつらへ、出雲の国にまかるみちに、一二二飢ゑてしよくを思はず、寒きに衣をわすれて、まどろめば夢にもきあかしつつ、十日をて富田の大にいたりぬ。
是は雀部が妻の五六産所さとなりければ、五七ねんごろにたのみけるに、此の人見捨てずしていたはりつも、医をむかへて薬の事もはらなりし。やや五八ここちすずしくなりぬれば、あつめぐみ五九かたじけなうす。