繁殖はんしょく)” の例文
このユリの特徴とくちょう葉腋ようえき珠芽しゅがが生ずることである。これが地に落ちれば、そこに仔苗しびょうが生ずるから繁殖はんしょくさすには都合つごうがよい。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
こうなると今度は、それに使うための蛆を飼育しいく繁殖はんしょくさせる必要が起こってくるので、その方法が研究されることになる。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「では、さっそく、その用意をしましょう。南京ねずみも、大いに繁殖はんしょくさせるよう飼育班しいくはんを編成いたしましょう」
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
こころざしはあったが、結婚後は手が廻り兼ねた。両親も察して、それには及ばないと言ってくれたのを幸い、その中俸給が上ってからと心掛けていたら、長男が生れた。以来一年置きに人口が繁殖はんしょくした。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
植物の旺盛おうせい繁殖はんしょくがすぐ道をかくしてしまう。群れ立つ樹々の梢が日光の直射をさえぎっていたが、それでもむんむんする草いきれで、しばらく歩くと汗が背筋に滲み出して来た。道は東北の方角である。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
ゼラチン膜を養分にして繁殖はんしょくするんだね
智恵の一太郎 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いろいろのばいきんを繁殖はんしょくさせ、そのばいきんはめぐりめぐって、やはりどこかで人間にあだをするかもしれない。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
離れるとき、動物も植物もいっしょに持っていったに違いない。そして条件さえ、よければ、月の上で、しばらくはその動物や植物が繁殖はんしょくし、繁茂はんもしたに違いない
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
寛永年間かんえいねんかんに日本へ渡り来って、いまは各地に繁殖はんしょくしているが、しかし多くはえられてある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
戦場で負傷ふしょうしたきずに手当てをする余裕よゆうがなくてっちゃらかしておくと、化膿かのうしてそれにうじ繁殖はんしょくする。その蛆がきれいにうみをなめつくしてきずがえる。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
あれから三四時間のちのことであるが、二つ頭の蠅が、俄然がぜん五匹に殖えている。異変は続々と起っているのだ。そして生物学的にみて、何という繁殖はんしょくすさまじさであろうか。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
けれども球根きゅうこん繁殖はんしょくするから、実を結んでくれなくっても、いっこうになんらの不自由はない。そうしてみると、水仙の花はむだに咲いているから、もったいないことである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)