ゆい)” の例文
「わが四ツ目ゆいの旗を先に立て、そのような忘恩の大名どもへ、後日、悔いを噛むなと、言ってやりたいのでございまする」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云いながら手に持った長羅宇ながらおを振上げさまゆいたての嶋田髷しまだまげ打擲ちょうちゃく致しましたからくしは折れて飛びまする。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……ゆいたての円髷まるまげに薄化粧して、質実じみだが黒の江戸褄えどづまの、それしゃにはまた見られない、こうとうな町家の内儀風の、しゃんと調ったお悦と、き心に肩を揃えて、私は
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
神のおやしろとか城とか寺とかには、遠国の職人をよび寄せて働かせたが、それは全体からいうとわずかなことで、その他の建築はみな土地かぎり、ゆいでたすけ合い、また手伝いにきて
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と、いって、半ゆいのまま、走って行ってしまった。
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
社家しゃけの門、神社のかつお木、森も奥まッた所に、ゆいの紋幕がソヨ風にはためいている。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「のう。佐々木の紋は、四ツ目ゆいとやらであるが、身のまわりは、四ツ目垣だの」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬上の道誉は、黄のおどしのよろいに、四ツ目ゆいの紋を打った陣笠をかぶっていた。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆい
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)