符牒ふてふ)” の例文
ことは、わたしいままでところへ、當人たうにんからけた、符牒ふてふばかりの電話でんわれて、實際じつさい顛倒てんだうしていそぐんです。かないでうしますか、つてはわるいんですか。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「實はな、八、この手拭の染め模樣が何かの符牒ふてふに違ひないと思つて、俺は五日考へたよ」
梶棒と梶棒とをれ/\にして、何か知ら符牒ふてふで暫く話し合つてゐる中に、忽ち纏りが付いて、千代松と竹丸とは向うから來た車に乘せられ、若い男と女とは此方こつちの車に乘つて
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
屋號やがうといふものは、その家々いへ/\符牒ふてふのやうにおもはれてるものでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
Yといふ符牒ふてふ
悲しき玩具 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「八五郎さんにお願して、錢形の親分にお頼みしたと話すと、主人やどは、——さうか、仕方があるまい、あの符牒ふてふだけでは、見る人が見なければ判る道理がないから、——と申して居りました」
「同じ惡者仲間の符牒ふてふで、周太郎にも大膳坊にもあの彫物はあつたのさ」