穿すぼ)” の例文
かれ其日そのひ役所やくしよかへけに駿河臺下するがだいしたまでて、電車でんしやりて、いものを頬張ほゝばつたやうくち穿すぼめて一二ちやうあるいたのち、ある齒醫者はいしやかどくゞつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
浅葱あさぎの蛇目傘を、白い手で、菊を持添えながら、すっと穿すぼめて、顔を上げた、ぞっとするような美人があります。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼はその日役所の帰りがけに駿河台下するがだいしたまで来て、電車を下りて、いものを頬張ほおばったような口を穿すぼめて一二町歩いたのち、ある歯医者のかどくぐったのである。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分は身を穿すぼめるようにして、露次の中に這入った。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)