“禿(かぶろ)” の例文
数包みて禿(かぶろ)に遣(つかわ)し、蚊屋の内に飛ばして、水草の花桶入れて心の涼しき様なして、都の人の野とや見るらむといひ様に、寝懸姿(ねかけすがた)の美しく
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
四度目、新富座四月狂言「天衣紛(クモニマガフ)上野ノ初花」に、大口の禿(かぶろ)春。五度目、新富座七月興行の二番目「土蜘蛛」に太刀持ち小源次。
市村羽左衛門論 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
この時司の禿(かぶろ)であった娘が、浜照(はまてる)という名で、来月突出(つきだし)になることになっていた。栄次郎は浜照の客になって、前よりも盛(さかん)な遊(あそび)をしはじめた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
静の言葉を尤もなことと思った義経は、昔、清盛入道が使っていた禿(かぶろ)で、手許にいる者のうち二人ばかりを見せに遣った。だが、二人は行ったきり、いつまで経っても帰って来ないのである。
花鳥は廊下で香以に逢うごとに秋波(しゅうは)を送った。ある夕(ゆうべ)小稲が名代床(みょうだいどこ)へ往って、香以が独(ひとり)無聊(ぶりょう)に苦んでいると、花鳥の使に禿(かぶろ)が来た。香以はうっかり花鳥の術中に陥った。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
わたしはこうして手を引いていながら、あなたの方へ向いて、その禿(かぶろ)になったお頭(つむり)を見ることが出来ません。姉えさん。あなたはわたしに隠して、何か考えていますね。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)