神田川かんだがわ)” の例文
神田川かんだがわ八丁堀はっちょうぼりなぞいう川筋、また隅田川すみだがわ沿岸の如きは夕陽せきようの美をたざるも、それぞれ他の趣味によって、それ相応の特徴を附する事が出来る。
神田川かんだがわの方に船宿ふなやどがあって、日取ひどり即ち約束の日には船頭が本所側の方に舟を持って来ているから、其処そこからその舟に乗って、そうして釣に出て行く。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
次にったのは君が露西亜ロシアへ行く事がほぼ内定した時のことである。大阪の鳥居君が出て来て、長谷川君と余を呼んで午餐ごさんを共にした。所は神田川かんだがわである。
長谷川君と余 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
伊右衛門はそれから長兵衛と官蔵に頼んで、お岩と小平の死骸を神田川かんだがわへ投げこました。
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そういう彼はまだいつきの道の途上にはあったが、しかしあの碓氷峠うすいとうげを越して来て、両国りょうごくの旅人宿に草鞋わらじを脱いだ晩から、さらに神田川かんだがわに近い町中の空気の濃いところに身を置き得て
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さて前回にべました文治郎と亥太郎の見附前の大喧嘩は嘘らしい話ですが、神田川かんだがわ近江屋おうみやと云う道具屋のうちに見附前の喧嘩の詫証文あやまりじょうもんと、鉄ごしらえの脇差と、柿色の単物が預けてあります。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
とうとう明神下の神田川かんだがわまで草臥くたびれ足を引摺って来たのが九時過ぎで、二階へ通って例の通りに待たされるのが常より一層待遠しかったが「こうして腹をかして置くのが美食法の秘訣だ、」
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
神田お茶の水の昌平坂しょうへいざか駿河台するがだい岩崎邸門前いわさきていもんぜんの坂と同じく万世橋まんせいばしを眼の下に神田川かんだがわを眺むるによろしく、皀角坂さいかちざか(水道橋内駿河台西方)は牛込麹町の高台並びに富嶽ふがくを望ましめ