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とぎし
ふりがな文庫
“
研師
(
とぎし
)” の例文
何かのクサビになるだろうと、この間、
研師
(
とぎし
)
大黒宗理の店さきで、そこにいた職人の道具箱からソッと一本かすめておいた品物だ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は児戯に類した言によっておのれを飾りはしない。もとより下層の者には、乞食や
研師
(
とぎし
)
や
惨
(
みじ
)
めな
奴
(
やつ
)
らには、何かがなくてはならない。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
夏が過ぎ、水の澄み工合がきまると、町の諸方から刀
研師
(
とぎし
)
が呼び出され、腰の物お手入れが始まりかけていた。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
新刀ながら最近
研師
(
とぎし
)
の手にかけたものだけに、どぎどぎしたその
切尖
(
きっさき
)
から今にも
生血
(
なまち
)
が
滴
(
したた
)
りそうな気がして、われにもなく持っている手がぶるぶると
顫
(
ふる
)
えた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
江戸彫刻師の随一人といわれた
彼
(
か
)
の高橋鳳雲の息子に
高橋定次郎
(
たかはしていじろう
)
という人があって(この人は当時は
研師
(
とぎし
)
であった。
後
(
のち
)
に至って私はこの人と始終往復して死んだ後のことまで世話をした)
幕末維新懐古談:23 家内を貰った頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
それいつか、妾の愛刀をお身様に渡し、新九郎様の
来国俊
(
らいくにとし
)
を妾が預って置いた。あれも、疾くに
研師
(
とぎし
)
から手入れができて届いておりますわいの。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
きょう、
露月町
(
ろげつちぃう
)
の
研師
(
とぎし
)
が、この間お渡しあそばした十振の刀のうち、
祐定
(
すけさだ
)
と、無銘と、二本だけを仕上げて参りました。
べんがら炬燵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここの板看板に
本阿弥
(
ほんあみ
)
門流としてあったので、
京出
(
きょうで
)
の
研師
(
とぎし
)
に違いないと思うと同時に、恐らく本阿弥家の
職方
(
しょくかた
)
長屋の一門下であろうとも考えられ
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
外には鍛冶のふいごや
鎚音
(
つちおと
)
もしていた。
床場
(
ゆかば
)
の内では、弓の
弦師
(
つるし
)
、具足の修理、くさずりの
縫工
(
ほうこう
)
、
研師
(
とぎし
)
、
塗師
(
ぬし
)
、
革裁
(
かわた
)
ち、
柄巻
(
つかま
)
き、あらゆる部門の職人が見える。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つまらぬ
鈍刀
(
なまくら
)
ばかりをお前の家では手がけていると見えるな。そういう
研師
(
とぎし
)
の手にかけるのは心もとない。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここは
研師
(
とぎし
)
の家であるから、誰の刀が預けられてあろうとも、べつだん奇とするには当らない。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうです、無論弦之丞じゃありません、どこかこの辺の浜へ稼ぎに来ていた船大工の
手間取
(
てまとり
)
。そいつが
研師
(
とぎし
)
の宗理の手から、
研
(
と
)
ぎ上がった二本の刀を受け取って帰って行きました」
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「本阿弥門流とあるから、刀の
研師
(
とぎし
)
であろう。——刀は武士のたましいというから」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嵐の夜に大分水に
浸
(
し
)
みておりますゆえ、御方様のお心づきでお出入りの
研師
(
とぎし
)
に手入れにおやり遊ばしたまでのこと、その間のお
差料
(
さしりょう
)
には、お部屋に置きましたものをどうぞお使い遊ばして下さりませ。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“研師”の解説
研師(とぎし)とは、刃物や鏡などの研磨を生業としている者である。研屋を営む。
(出典:Wikipedia)
研
常用漢字
小3
部首:⽯
9画
師
常用漢字
小5
部首:⼱
10画
“研”で始まる語句
研
研究
研鑽
研屋
研究室
研磨
研鑚
研澄
研出
研桶