着換きがへ)” の例文
十手や捕繩を神田の家に殘して、道中差一本に、着換きがへあはせが一枚、出來るだけ野暮な堅氣に作つた、一人旅の氣樂さはまた格別でした。
それからお父様は、着換きがへだの足袋だの、学校道具だのを風呂敷ふろしきに包んで、愚助に脊負しよはせて、お寺へつれて行きました。それを見た和尚様は、にこにこ笑ひながら
愚助大和尚 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
葛籠つゞらふたつたり、着換きがへほころびしらべたり、……あらつた足袋たび裏返うらがへしたり、女中ぢよちうかひものにしたり、なに小氣轉こぎてん立𢌞たちまはつてたとおもふと、晩酌ばんしやくもので一合いちがふつけたときはなは見事みごとでない
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
着換きがへリンの音で人々は散つてしまつた。私が再び彼を見かけたのは晩餐後であつた。その時には彼はすつかりくつろいでゐる樣子だつた。しかし私は前よりももつと彼の相好さうがうが好きになれなかつた。
自分の長屋まで辿たどり付いた光景、着換きがへの爲に、暫らく文箱を隣室に置きつ放しにしたことなどがはつきり思ひ出されます。
お靜の着換きがへには相違ありませんが、お樂が着ると、銘仙も木綿もいきになるのでした。洗ひ髮に、赤い/\唇、猪口にさはると其儘酒も紅になりさうな、それは何といふ官能的な魅惑みわくでせう。
着換きがへをして床の上へ坐つたまゝ、のみのどを突いて居りましたが、——」